...余之を見て思へらく眼を悦ばす美麗なる色素や嗅覚を楽ましむる馥郁たる香料は化学工業によりて数多く製造されつゝあれども味覚に訴ふる製品はサッカリンの如き恠し気なる甘味料を除きては殆んど稀なり...
池田菊苗 「「味の素」発明の動機」
...稀なる往來の人に遠慮を爲(し)い/\密(ひそ)めた聲も時々高くなる...
石川啄木 「札幌」
...彼は、世に最も稀な、最も高価なものの外は求めなかつた...
ヴァレリイ 坂口安吾訳 「〔翻訳〕ステファヌ・マラルメ」
...たぐい稀な特質だ」「しどろもどろの看板」「懐疑説の破綻(はたん)と来るね...
太宰治 「ダス・ゲマイネ」
...お市御料人(ごりょうにん)はまだお輿入(こしい)れにならぬうちから世にも稀なる美人のきこえの高かったお方でござります...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...之を實行するものは甚だ稀なり世間誠實の君子少なきに非ずされど單純なる誠實は好方便と爲らず何となれば是れ無意義の誠實なればなり蓋し古へより能く人心を收攬するものは...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...病来散策する事稀なれば偶然晩晴の富士を望み得て覚えず杖を停む...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...この日風なく近年稀なる好き正月なり...
断膓亭日記巻之四大正九年歳次庚申 「断腸亭日乗」
...世間にはなはだ稀なり...
福沢諭吉 「学者安心論」
...不老の悦びを――そのやうな類ひ稀なる清廉に法て完全なる! 盃を探し索めるべく発足したばかりのアスフアルト街上のチヤムピオンであります...
牧野信一 「〔モダン紳士十誡〕」
...類ひ稀なるモロコシ酒の利き目は...
牧野信一 「幽霊の出る宮殿」
...(b)善人はきわめて稀なり...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...これ程稀な世の鑑(かがみ)ともなるべき人物が...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...我々の自然の法規の稀な病的な例外である...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...わたしはそのために特別稀な好遇を受けた...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...然るにその判断には稀ならず失敗があつた故に...
柳田國男 「家を持つといふこと」
...現在もなお稀ならず農村には残っている...
柳田国男 「海上の道」
...近ごろ植えたものとてアラビヤの土人には何より珍稀な見世物だろう...
横光利一 「欧洲紀行」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??