...文を行(や)るに自由なることは文壇の士にも稀なるべし...
芥川龍之介 「学校友だち」
...余之を見て思へらく眼を悦ばす美麗なる色素や嗅覚を楽ましむる馥郁たる香料は化学工業によりて数多く製造されつゝあれども味覚に訴ふる製品はサッカリンの如き恠し気なる甘味料を除きては殆んど稀なり...
池田菊苗 「「味の素」発明の動機」
...人界に降ること稀なる歌苑(かゑん)の神も...
石川啄木 「閑天地」
...身体に稀な例外の点があれば...
丘浅次郎 「落第と退校」
...われわれはたぐい稀なよろこばしい場所を...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...家屋の内に於ては聊か之を聞く事あれども蚊帳を用うるを要せず蝉声の如きも甚だ稀なり...
太宰治 「津軽」
...昼間でさえも人通りの稀な...
豊島与志雄 「道連」
...今年程雨少き年は稀なるべし...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...○世界中猥※の恐れられたる我国の如く甚しきは稀なるべし...
永井荷風 「猥褻独問答」
...それでも他の客と異つてどつしりした態度が青年には稀な狎れ難い所があるので不審とでもいふのか女は一寸こんなことを噺しかけて稍情を含んだ眼で時々彼を偸み視た...
長塚節 「商機」
...弁護人たる私の立場は弁護人としては古今に稀なと云っていい位悲惨なものになってしまったのです...
浜尾四郎 「彼が殺したか」
...そはかの古(いにしへ)の姫がいとも稀なる緑石を宮殿の倉の底へ蔵したるが如くに……深く秘めて...
牧野信一 「青白き公園」
...あの「十二時」から享けたとほりの稀なる和やかさと...
牧野信一 「「三田文学」と巌谷夫人」
...彼らの汗が何か稀な特別な体質のかげんで馥郁(ふくいく)たる香りを発散したといわれており...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...古代の稀な・優秀な・そしてあれほどに天与の力をゆたかに恵まれていた・人々は...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...一般に次のような習慣によって稀なる健康をたのしんでいた...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...げに常識はかかる高位の人々にはいと稀なり...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...人界に稀な人として自然に寄る徳望というものだろうか...
吉川英治 「新書太閤記」
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