...放埒(ほうらつ)な、移り気(ぎ)な、想像も及ばぬパッションにのたうち回ってうめき悩むあの大海原(おおうなばら)――葉子は失われた楽園を慕い望むイヴのように、静かに小さくうねる水の皺(しわ)を見やりながら、はるかな海の上の旅路を思いやった...
有島武郎 「或る女」
...移り気がして一書に専らなることを得ないが...
市島春城 「読書八境」
...やがて移り気な彼女に捨てられる...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「蘭郁二郎氏の処女作」
...この移り気が禍いして一生をだいなしにする者がどのくらいあるか判らない...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...突発的で移り気な少年の気まぐれではなく...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
......
峠三吉 「原爆詩集」
...彼女はそれを小娘の移り気のせいだとしたかった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...単なる移り気である...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...)(三) 移り気彼の感情も意志も...
中島敦 「斗南先生」
...女 コーカサスぢやなしにポーランド?――移り気な………...
中原中也 「夢」
...助手たちに対するこの告発はたしかに正しくはあったのだが、それらはみな、あの二人のまったく滑稽で、子供じみて、移り気で、自制のきかないたちからいうと、もっとずっと罪がないもののように解釈されるのだった...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...歓びといふ美しくて移り気な訪客がわれわれの許を飛び去つたあとではただ侘しい音だけが過ぎ去つた歓楽を物語るのではなからうか? 音そのものが既におのれの反響(こだま)のなかに悲哀と寂莫の声を聴きながら...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...移り気な晩秋の空に出没する星の瞬きも移り気な頃である...
牧野信一 「凩日記」
...その葉は浮華な移り気を戒める如(ごと)く四時青々として緑の色を保ち...
牧野富太郎 「植物記」
...かえってほかから見てまじめな移り気のない男に見えもするでしょう...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...現代の人は皆移り気なふうになっていますから...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...移り気であると自分の言われていることに疑いを持っていたから...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...わたくしが芸ごとをつぎつぎに変えたのは移り気からだとお思いになりますか」かな女はしずかに嫁の眼を見やり...
山本周五郎 「日本婦道記」
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