...しかしロンドンの消費者の移り気に必須な程度の白さを作るには(最高の小麦粉を使うのでなければ)パン生地を漂白しなければならず...
フレデリック・アークム Fredrick Accum 水上茂樹訳 「食品の混ぜ物処理および調理の毒物(1820)」
...放埒(ほうらつ)な、移り気(ぎ)な、想像も及ばぬパッションにのたうち回ってうめき悩むあの大海原(おおうなばら)――葉子は失われた楽園を慕い望むイヴのように、静かに小さくうねる水の皺(しわ)を見やりながら、はるかな海の上の旅路を思いやった...
有島武郎 「或る女」
...移り気がして一書に専らなることを得ないが...
市島春城 「読書八境」
...揺椅子(ゆりいす)のなかにうづくまる移り気をそそのかして...
大手拓次 「藍色の蟇」
...この移り気が禍いして一生をだいなしにする者がどのくらいあるか判らない...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...いつもの移り気な性分にも似ずこの女に依って最も多く独(ひと)り寝のあじきなさを慰められて来たのだが...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...青年男女の顔つきを――移り気な欲望や懸念(けねん)や皮肉などの波の過ぎるのがよく見て取られる...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...あなたの移り気の為に振り捨てた弟が...
浜尾四郎 「悪魔の弟子」
...ひどい移り気(キャプリシュウ)で...
久生十蘭 「キャラコさん」
...軽率と移り気の非常に有力な証拠であろう...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...移り気で気まぐれ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「真劇シリーズ」
...アッシェンバッハはそとをながめていた――両手をひざにおいたまま、ここへもどってきたことに満足しながら、自分の移り気に、われとわが願望を知らぬのに、不満を感じて頭をふりながら...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...かえってほかから見てまじめな移り気のない男に見えもするでしょう...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...およそ我々の悟性くらい柔軟で移り気なものはない...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...吾儘(わがまま)や自分の移り気で...
吉川英治 「山浦清麿」
...おまけにもう、根が大の浮気もんでしてね、移り気も移り気、――昨日は東、今日は西って調子なんでございますよ!」「でどうなの、アクシーニヤ……あの……」と、彼女の前に立って歩きながら、若いおかみさんが言った、――「お前さんの子は生きてるかい?」「生きとりますよ、おかみさん、生きとりますよ――どうして中々! 憎まれっ子、世にはばかるって、この事でございますよ...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
...遊蕩者の気ままな無責任な移り気に過ぎなかった...
和辻哲郎 「転向」
...しかも意志弱き男の移り気に絶えず心を掻き乱される...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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