...放埒(ほうらつ)な、移り気(ぎ)な、想像も及ばぬパッションにのたうち回ってうめき悩むあの大海原(おおうなばら)――葉子は失われた楽園を慕い望むイヴのように、静かに小さくうねる水の皺(しわ)を見やりながら、はるかな海の上の旅路を思いやった...
有島武郎 「或る女」
...人からは移り気だの飽きッぽいのといろいろ非難されますが...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...いわんや妻は移り気な性分であったし...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...突発的で移り気な少年の気まぐれではなく...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...青年男女の顔つきを――移り気な欲望や懸念(けねん)や皮肉などの波の過ぎるのがよく見て取られる...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...単なる移り気である...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...震え声で移り気だった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...女 コーカサスぢやなしにポーランド?――移り気な………...
中原中也 「夢」
...あなたの移り気の為に振り捨てた弟が...
浜尾四郎 「悪魔の弟子」
...助手たちに対するこの告発はたしかに正しくはあったのだが、それらはみな、あの二人のまったく滑稽で、子供じみて、移り気で、自制のきかないたちからいうと、もっとずっと罪がないもののように解釈されるのだった...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...歓びといふ美しくて移り気な訪客がわれわれの許を飛び去つたあとではただ侘しい音だけが過ぎ去つた歓楽を物語るのではなからうか? 音そのものが既におのれの反響(こだま)のなかに悲哀と寂莫の声を聴きながら...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...移り気で気まぐれ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「真劇シリーズ」
...「自殺室の不思議」は何時しか移り気な公衆に忘れられるともなく忘れられかけて来た...
牧逸馬 「ロウモン街の自殺ホテル」
...彼はあまねく峻烈に表現しているが、その中で曰く、『男子に対するその情欲、その移り気、その固き愛情の欠乏、及びその片意地な天性により、女子はいかに現世においてよく保護されても、まもなくその夫から疎んぜられる1)...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...かえってほかから見てまじめな移り気のない男に見えもするでしょう...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...移り気な気分から生じたこの奔放な熱情を冷ますときには...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...かるはずみなる移り気(ぎ)の国...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...もう移り気な葉子からすっかり見離されていた黒吉が...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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