...一等国と名乗るようになってからは先方でも用心して秘するゆえ...
丘浅次郎 「民族の発展と理科」
...このよろこびをわれ一人の胸底に秘するも益なく惜しき事に御座候えば...
太宰治 「不審庵」
...なんらか他に重大なる使命を秘するもののごとく想像に難からずと...
林不忘 「安重根」
...其身に悪疾あるものは大抵これを秘す...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...それには身分を秘するより外はない...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...便秘すれば逆上は必ず起るという理論から来たものだ...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...しかしてこの秘すべきことに...
新渡戸稲造 「自警録」
...もっとも深く秘するところなり」といっている...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...配乗の機微は離船の直前まで厳秘することに申合せをした...
久生十蘭 「海難記」
...家中の乱れは隠秘するにかぎる...
久生十蘭 「鈴木主水」
...どうやらこの事件は内秘する方針だと判ったので...
久生十蘭 「魔都」
...皇帝の犯行を隠秘するという名目でこれを自殺事件として取扱うことを発議された...
久生十蘭 「魔都」
...いかなる狂馬も汗をかき申すべきなり秘すべしとあるが...
南方熊楠 「十二支考」
...「誰がです」「松山がだ、もしその盟約が事実だとしたら、ほかへはもれないようにする筈だ」「ほかへもれたんですか」「現に七十郎が知っている」「私がですって、――貴方はこの七十郎を、そんなふうにみているんですか」「私はどんなふうにもみない」と甲斐は穏やかに云った、「私は臆測や疑惑や勝手な想像で、人をみたり商量したりすることはしない、誰に限らず、なにごとによらず、私は現にあるとおりをみ、現にある事実によってその是非を判断する、もしそんな盟約があるとすれば、盟約者以外には秘してもらさぬ筈だ、たとえそれが七十郎であろうともだ」七十郎はちょっと口をつぐみ、それから、さぐるように云った、「貴方は松山を非難するんですか」「私は人を非難したことなどはない」「ではいまの言葉はどういう意味です」「わからない男だ」と甲斐は頭を振った、「七十郎は長崎までいって、ねぼけて来たようだな」「云って下さい、では盟約はどういうことになるんです」「つまりなかったということだろうね」「なかった、ですって」「当然、秘すべきことを、そうたやすく人に話すとすれば、それは秘すべき必要のないことであり、つづめていえば、そんな盟約はなかったということになるだろう」「それはまじめですね」「酔っているのは、七十郎だ」「原田甲斐――か」と七十郎は鼻を鳴らした...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...恐がったり秘すようなケチなまねはしていない...
吉川英治 「美しい日本の歴史」
...尊台が大事を秘すのあまり...
吉川英治 「三国志」
...秘す気もないのか...
吉川英治 「私本太平記」
...ずいぶん秘すべきことをまで放胆にいってしまわれたが...
吉川英治 「私本太平記」
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