...淡島屋の帳場に座って天禀(てんぴん)の世辞愛嬌を振播(ふりま)いて商売を助けたそうだ...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...又た其の最純良なる性質をも禀受したりき...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...「読み上げます」私領琉球国へ滞留罷在候異国人共之儀に付而者(ついては)、追々被仰達候(おおせたっせられそうろう)御趣旨之旨、相心得致指揮(あいこころえしきいたし)、仏蘭西人者、無異議引払、英国人は未だ滞留いたし居候得共、国中一統人気も平常に帰し――「わしの禀申(りんしん)書ではないか」「はい」「それが、何うした?」「父上、その禀申書に、書いてござります、琉球国無事安穏のことは、悉く、偽りと、幕府要路へ知れておりまするぞ...
直木三十五 「南国太平記」
...何んという言葉を使う」「殿中にても、世上にても、左様に申しております」久光は、手早く、将曹から、幕府へ報告した文面の写しを、取り上げて「この、禀申書の如き、署名は、ただ、将曹一人、藩老の連署が無くて、何故、この藩国の一大事件を、上へ通達するような、軽々しきことをなされました...
直木三十五 「南国太平記」
...遠征隊そのものについては事前に関知していたのである! 一方そもそもジェンキンスの報告に基づいてセワードが本国に禀請して成った対朝交渉案の実行を...
服部之総 「撥陵遠征隊」
...たとえその発育されたる能力だけは天禀(てんぴん)の本量一尺に達するも...
福沢諭吉 「文明教育論」
...神と自然があなたに與へた天禀によつてゞす...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...また諺に紀州人の伴(つれ)小便などもいわば天禀(てんぴん)人にも獣畜類似の癖あるのが本当か...
南方熊楠 「十二支考」
...して見ると禀賦と訓練で他の怖ろしがる物を怖れぬ馬もあるのだ...
南方熊楠 「十二支考」
...しかし生來の詩人的氣禀は...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...その気禀の余りに熾烈なるために物象を睨んで終ることがある...
室生犀星 「聖ぷりずみすとに与う」
...これは禀賦各相殊なるものをして適材の適處に居るに至らしむるに外ならぬのである...
森鴎外 「古い手帳から」
...いや詩はその人の天禀の才であるから...
吉川英治 「折々の記」
...おのずからの気禀(きひん)があるので...
吉川英治 「神州天馬侠」
...筆触から出ている気禀(きひん)...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...われわれはその気禀にもある秘めやかな親しみを感じないではいられない...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...ここに看取せられるのは現実主義的な作者の気禀(きひん)である...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...芸術的気禀の根本的相違を認め...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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