...神秘的な穏やかさと深さとは脳心にしみ通るようだった...
有島武郎 「或る女」
...その闇のなかにも三日のあいだ謎のように死んでいた彼の神秘的な幻影はますます明らかに輝き出した...
レオニード・ニコラエヴィッチ・アンドレーエフ 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...この薄紫の神秘的な影富士を素速く写生しはじめる……」「成る程」「けれども...
大阪圭吉 「闖入者」
...しかしやはり一種の神秘的な感じがする...
寺田寅彦 「病院の夜明けの物音」
...曾ては一種の神秘的な数学が存在した...
戸坂潤 「イデオロギーの論理学」
...潜りながら急にこの海の底の谷間を覗き込んだ時の神秘的な恐ろしさは...
中谷宇吉郎 「真夏の日本海」
...神秘的な事件に成上っている...
久生十蘭 「悪の花束」
...自由自在にはたらいてゐる神秘的な...
平林初之輔 「エミイル・ゾラの文学方法論」
...それは神秘的な、分析することも説明することもできない、一種不可思議な霊域としてアプリオリに設定されてゐるのである...
平林初之輔 「文学の本質について(一)」
...実物よりも十倍位の大きさの一つの神秘的な顔...
堀辰雄 「聖家族」
...この僕の神秘的なお腹は決してお解りになるまい...
牧野信一 「心配な写真」
...いかにも神秘的な存在で羅曼(ロマン)的な興味が深い...
正岡容 「我が圓朝研究」
...何か神秘的な特異質があるのでございましょう...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...神秘的なあるものがあった...
夢野久作 「暗黒公使」
...やはり神秘的な運命の手によって導かれる行者のような気持ちでソロソロと前に進み出て...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...少々神秘的なことが……」「ヘエ...
夢野久作 「二重心臓」
...もっともっと高潮した意義を含む存在の理由……人間の内的生活に対して何等かの深い関係を持っているもののように思われてならぬ……そうして又見れば見る程不思議な恰好……恐ろしく神秘的なもののような……同時に又恐ろしく無意義なるもののような……」こうしてとうとう要領を得ずじまいに終られる方が多いであろうと考えられます...
夢野久作 「鼻の表現」
...肉体の美しさを通して表現せられるのではなく肉体の姿によって暗示せられる何か神秘的なものをとおして表現せられるのである...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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