...空しく月を砕いて流るるもいとすが/\し...
大町桂月 「月譜」
...文部大臣の森有礼を暗殺した西野文太郎の墓石を砕いてその一片(ひとかけ)を懐にして行くのである...
高村光太郎 「回想録」
...堅さうな骨は噛み砕いてやつてから...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...水谷砕壺の大きな愛によるものであつた...
富澤赤黄男 「天の狼」
...丁度その時又涙がぽたりと落ちて皿の中で砕けた...
豊島与志雄 「蠱惑」
...静かな余波が二人の足下に砕けていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...彼の心は紛砕された……...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...子爵なんかが――なお子爵などというものがあるとすれば――トーマとかピエールとかジャックとかいう砕けた名前をつけることは珍しくはない...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...この二者は和歌の貴族的なるを砕いて平民的に自由ならしめたるに外(ほか)ならず...
永井荷風 「江戸芸術論」
...また自分の腰がグタグタと砕けて...
中里介山 「大菩薩峠」
...どこかの羽目を踏み砕いても飛出したであろうが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...人知の粉砕のすぐあとに来たものは...
牧逸馬 「ヤトラカン・サミ博士の椅子」
...パパパパパチッと爆竹が砕けた...
正岡容 「寄席」
...『千一夜譚(サウザンドナイツ・エンド・ア・ナイト)』に海商シンドバッド一友と樹に上り宿すると夜中大蛇来てその友を肩から嚥(の)みおわり緊(きび)しく樹幹を纏(まと)うて腹中の人の骨砕くる音が聞えたと出で...
南方熊楠 「十二支考」
...第二十三 砕き肉のサンドイッチ牛肉の料理が残った時そのまま薄く切って前の通りな料理に致しても構いませんが...
村井弦斎 「食道楽」
...見渡す限りの黒土原……ヴェルダンの光焔……轟音(ごうおん)……死骸の山……折れ砕けた校庭の樹列……そうしてあの美しい候補生……等々々も皆...
夢野久作 「戦場」
...お菓子の石のような灰白色の島が波に噛み砕かれているのが眼についた...
横光利一 「旅愁」
...「――すぐ取囲んで、何者ぞと、取糺(とりただ)しましたところ、頭目らしき真っ先の男がいうには――自分ことは、黄祖の手下で、甘寧(かんねい)字(あざな)を興覇(こうは)とよぶ者であるが、もと巴郡(はぐん)の臨江に育ち、若年から腕だてを好み、世間のあぶれ者を集めては、その餓鬼大将となって、喧嘩を誇り、伊達(だて)を競い、常に強弓、鉞(まさかり)を抱え、鎧を重ね、腰には大剣と鈴をつけて、江湖を横行すること多年、人々、鈴の音を聞けば……錦帆(きんぱん)の賊が来たぞ!錦帆来(きんぱんらい)! と逃げ走るのを面白がって、ついには同類八百余人をかぞうるに至り、いよいよ悪行を働いていたなれど、時勢の赴くを見、前非を悔いあらため一時、荊州に行って劉表(りゅうひょう)に仕えていたけれど、劉表の人となりも頼もしからず、同じ仕えるなら、呉へ参って、粉骨砕身、志を立てんものと、同類を語らい、荊州を脱して、江夏まで来たところが、江夏の黄祖が、どうしても通しません...
吉川英治 「三国志」
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