...其の中に井田は矢張り少し氣の拔けた風で立つて居た...
有島武郎 「半日」
...矢張りそれに関連したことだつた...
伊藤野枝 「乞食の名誉」
...では諦めて屈して仕舞ふかと云へば、彼は矢張り、それに対する憎悪は持つてゐるのだ...
伊藤野枝 「惑ひ」
...それで若し、私が、あのちどり子(こ)の次兄であったとして、いやそう驚かなくてもいいよ、先刻、君が口中で味(あじわ)い、胃袋へおとし、唯今は胃壁から吸収してしまったであろうと思われる、アノ××××が、栄螺(さざえ)の内臓でなくして、実は、君の血肉(ちにく)を別(わ)けた、あの胎児(たいじ)だったとしたら、ハテ君は矢張り、『×××××を、ムシャムシャ喰べてみたが、たいへんに美味(おいし)かった』と嬉しがって呉れるだろうか、ねえ星宮君――」「ウーム...
海野十三 「恐しき通夜」
...しかし矢張り大理石のバスの中は鹽湯だつた...
海野十三(佐野昌一) 「南太平洋科學風土記」
...勝田氏にしても矢張り黙つて大臣としての待遇(もてなし)を受けてゐたのだ...
薄田泣菫 「茶話」
...「とよ子さんは矢張り長兄(にい)さんの所にいるのが順席ですよ...
「草藪」
...前夜と変らぬ黒い巨人は矢張り目の前にあった...
高浜虚子 「富士登山」
...また矢張り机に凭(よ)って掌に額を支えたまゝ静(じっ)としていると...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...矢張り裝飾が必要である...
新渡戸稻造 「教育の目的」
...私は矢張り知識の量を挙げなければならぬ...
野村胡堂 「銭形平次打明け話」
...――矢張りあの女だよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...こいつは矢張り金儲(かねまう)けの興行物ですよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...矢張りそうした不遇時代には...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...この律法といふのが矢張り分らぬ...
松本文三郎 「世界に於ける印度」
...』と言ひ棄てて独りで出掛けようとすると豊子も矢張り起上つて『ほんとに変な方ね...
村山槐多 「殺人行者」
...私は矢張り古い女です...
横光利一 「悲しみの代價」
...ツイ窓際近く迫つてゐる山に白雲の去來するのを眺めて一杯二杯と重ねてゆく地酒の味と共に矢張り拙いと言ひ切ることの出來ぬものではあつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
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