...矢張(やは)り優美だつたといふ記憶がのこつてゐる...
芥川龍之介 「一番気乗のする時」
...驚いて叫びながら矢のやうに飛んで行つて了ひました...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...もう今にも弦の音がして矢が飛んで来るだろうと思いました...
田中貢太郎 「人蔘の精」
...此の人は矢張り自分の樣なたちの...
寺田寅彦 「寫生紀行」
...されどつゞいて*附け紐と矢じりと共に體外に 150あるを認めてメネラオス其沈着を取りもどす...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...故に現内閣は、形式に於ては憲政黨の内閣なりと雖も、其實質に於ては則ち、進歩自由兩黨の聯立内閣なりと謂はざる可からず、唯だ夫れ然り、此を以て大隈伯はたとひ現内閣の總理たるも、憲政黨は未だ大隈伯を中心とせざるの事實あるに於て、現内閣は決して世人の豫期したる如き理想的大隈内閣に非るは、復た言ふを俟たず、然らば理想的大隈内閣とは何ぞや名實共に大隈伯を首領としたる黨與に依て組織せらるゝもの是れなり、蓋し伯も亦曾て此冀望を抱て多數の俊髦を糾合したること此に年あり其徒沼間守一、小野梓、藤田茂吉等諸氏は、既に故人に屬すと雖も、尚ほ矢野文雄、島田三郎、犬養毅、尾崎行雄の四氏舊に仍て意氣軒昂たるあり、加ふるに鳩山和夫、大石正巳、加藤高明等の如き、伯と深縁あるもの亦之れなきに非ざるが故に、其多士濟々たる、以て優に理想的大隈内閣を組織するに餘りあらむ然るに現内閣中純然たる大隈派と目す可きものは、僅に尾崎、大石の兩氏あるに過ぎずして、其他の閣員は、皆大隈伯と政治上の經路を異にしたる人物なり、是れ豈世人の豫期したる如き大隈内閣ならむや...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...矢野浩一はその打撃がひどく胸にこたえた...
豊島与志雄 「電車停留場」
...昨夜はろくに眠らないほど考へたが――」「親分でもね、矢張り、大きな魚を釣り落したやうな心持で――」「馬鹿だなア、そんな事ぢやないよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...楊弓や吹矢(ふきや)の店が連なった盛り場だったが...
長谷川時雨 「古屋島七兵衛」
...仮面強盗に白羽の矢をたてられる資格は十分ですね...
平林初之輔 「探偵戯曲 仮面の男」
...矢狭間(やざま)のある白い土塀まで...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...」涙を浮べて云うような久慈の切なげな言葉を聞いては矢代もも早や意見は出なかった...
横光利一 「旅愁」
...矢代には旅の感傷となって生きて来た...
横光利一 「旅愁」
...互いに慄える手を探り合って握りつつも、どこかに身の近づけぬもののある画廊ながら、矢代は、もしこれで千鶴子にいのちを失う踏絵のような場合が来れば、あの、細川ガラシヤの死の苦痛を軽めで死んだ小笠原少斎のように、自分もともに千鶴子と死ぬかもしれないと思った...
横光利一 「旅愁」
...千鶴子の場合にしても、矢代は、今まで結婚を延ばしている身でありながら、戦争となるや突然急ぎ出す挙に出れば、自分の身勝手ひややかにすぎ、それでなくとも延びている二人の間を、一層ひき延ばそうとする美しからざる不自由さも生じて来るのだった...
横光利一 「旅愁」
...矢張(やはり)気に掛(かゝ)るのは東京に残して来た子供等の上(うへ)である...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...「呉兵だ」「伏兵だぞ」すでに矢風は急雨のごとく身辺をかすめていた...
吉川英治 「三国志」
...「あれでも矢張り生きて居る……」と...
若山牧水 「一家」
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