...體面國大總領僞善氏の地獄に墮つるを快げに瞰下する...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...人類の到達し得たる最高の立場に易々と身を置いて人生を瞰下してゐる人達の顏に...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...若しそれ市の中央に巍然(ぎぜん)として立つ不来方城に登つて瞰下(みおろ)せば...
石川啄木 「葬列」
...夜目にも著(しる)き橋下の波の泡を瞰下(みおろ)し...
石川啄木 「鳥影」
...暗い山の上から瞰下(みおろ)すような心持があった...
石川啄木 「弓町より」
...おぼろげながら判然(はっきり)と廉平の目に瞰下(みおろ)された...
泉鏡花 「悪獣篇」
...立ちはだかりたる身の丈豊かに神崎を瞰下(みお)ろしたり...
泉鏡花 「海城発電」
...麓(ふもと)を瞰下(みおろ)しながら...
泉鏡花 「貝の穴に河童の居る事」
...こちらは、莫迦(ばか)みたいに、頬笑(ほほえ)んで、瞰下していると、あなたは、直(す)ぐ気づき、上をむいて、にっこりした...
田中英光 「オリンポスの果実」
...京都を瞰下(みおろ)したんだから...
夏目漱石 「虞美人草」
...運動に供せんため自ら室内操櫓器(そうろき)と名(なづ)くる者を携え行きたりしが室内狭くしてしばしばこれを用ゆること能わざりし)故に僅かに狭少なる(まど)によりて下界を瞰下(みおろ)し...
野中到 「寒中滞岳記」
...長い紙の面を瞰下(みおろ)しながら右の肩を脱いでその袂(たもと)をうしろに刎ねた...
本庄陸男 「石狩川」
...其処から突然崖になつて瞰下される草木の深い急な斜面をアケビの蔓をたぐりながら転落する石のやうに素早く駆け降(お)り始めた...
牧野信一 「籔のほとり」
...目の醒めるやうな鉢植の花並べた朝顔売りの姿瞰下ろして柳浪が「今戸心中」の昔の名残りのいまもどこやらにのこれる風情をいとど感嘆してゐる時しもあれや...
正岡容 「東京万花鏡」
...こは絶對の上より瞰下(かんか)しての事なり...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...つまりグルノオプル市を遠くから瞰下するベルドオヌの眞白い連嶺である...
吉江喬松 「山岳美觀」
...別に群山を瞰下してゐるとは感ぜられないが...
吉江喬松 「山岳美觀」
...汽車は既によほどの高処を走つて居るらしくその白い瀬は草木の茂つた山腹を越えて遥かに下に瞰下(みおろ)されるのである...
若山牧水 「渓をおもふ」
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