...高がこの殿の命一つ、平太夫が太刀ばかりで、見事申し受けようも、瞬く暇じゃ...
芥川龍之介 「邪宗門」
...瞬く間、窓の外が明るくなつたと思ふと、汽車は、トある森の中の小さい駅を通過(パツス)した...
石川啄木 「天鵞絨」
...瞬く間に毀れ家と死骸の山になつて了つた...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...――あわてた地主は手を合せた――――訴訟は命にかけても取下げる――血の気のない顔ふるえ声――今更とり下げるも糞もあるもんか勝手にさらせ――吸血魔――たける狂った群衆――そして地主も瞬く間に冷たくなったふむける殴るここでも同じくくり返す...
今村恒夫 「死ぬる迄土地を守るのだ」
...瞬く内に岸に乗りつけた一同は...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...何うしてそれが瞬く間に此の婆さんの家(ところ)にまで分ったろうか...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...瞬くまに消えてしまった...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...瞬くまも許さない咄嗟だった...
豊島与志雄 「月明」
...それから例の早い足で瞬く間に甲信の国境まで来てしまい...
中里介山 「大菩薩峠」
...せっかくここまでの経営が、瞬く間に掠奪と、犠牲の壇上に捧げられてしまい、そうしてこの本館も、御殿も、彼等暴民共の一炬(いっきょ)に附されるか、或いは山寨(さんさい)の用に住み荒されることは火を見るように明らかである...
中里介山 「大菩薩峠」
...瞬く間に一枚挽ける又挽ける...
長塚節 「才丸行き」
...瞬く間に心地よく出てきにけり...
久生十蘭 「玉取物語」
...夕星の瞬く丘の横道をゆるゆるとのぼっていった...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...ワラタ号は大颶風に捲き込まれて瞬く間にくるりと船底を見せ...
牧逸馬 「沈黙の水平線」
...瞬く間に情なしの広い空地の水は石をも越した...
宮本百合子 「雨と子供」
...小さい水たまりは瞬くうちに蒸発してしまいますね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...あの恐ろしい獣が瞬く隙に周囲(まわり)の人を撥ね飛ばして...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...そうして暁の透(す)き通った青い光りの裡(うち)にうつらうつら瞬く星と...
夢野久作 「白髪小僧」
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