...……お聞き、島へ着くと、元船(もとぶね)を乗棄(のりす)てて、魔国(まこく)とこゝを覚悟して、死装束(しにしょうぞく)に、髪を撫着(なでつ)け、衣類を着換(きか)へ、羽織を着て、紐(ひも)を結んで、てん/″\が一腰(ひとこし)づゝ嗜(たしな)みの脇差(わきざし)をさして上陸(あが)つたけれど、飢(うえ)渇(かつ)ゑた上、毒に当つて、足腰も立たないものを何(ど)うしませう?……」六「三百人ばかり、山手(やまて)から黒煙(くろけぶり)を揚げて、羽蟻(はあり)のやうに渦巻いて来た、黒人(くろんぼ)の槍(やり)の石突(いしづき)で、浜に倒れて、呻吟(うめ)き悩む一人々々が、胴、腹、腰、背、コツ/\と突(つつ)かれて、生死(いきしに)を験(ため)されながら、抵抗(てむかい)も成らず裸(はだか)にされて、懐中ものまで剥取(はぎと)られた上、親船(おやぶね)、端舟(はしけ)も、斧(おの)で、ばら/\に摧(くだ)かれて、帆綱(ほづな)、帆柱(ほばしら)、離れた釘は、可忌(いまわし)い禁厭(まじない)、可恐(おそろし)い呪詛(のろい)の用に、皆(みんな)奪(と)られて了(しま)つたんです...
泉鏡花 「印度更紗」
...入折戸に着くまでが既に好(い)い加減の難所であった...
江見水蔭 「壁の眼の怪」
...何でも松山に帰り着くまでに表六句が出来ぬかであった...
高浜虚子 「子規居士と余」
...」とかくして龍宮の正門に着く...
太宰治 「お伽草紙」
...桑港(サンフランシスコ)に着くまで...
田中英光 「オリンポスの果実」
...そしてまず茶の間に落着くのである...
豊島与志雄 「霧の中」
...その間を生肴(なまざかな)が通う時は半日一晩で甲府へ着くから大したものじゃねえか...
中里介山 「大菩薩峠」
...巣鴨まで辿(たど)り着くうちに...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...アワイ茶屋に着くと...
林芙美子 「大島行」
...種子島へ着くのださうだ...
林芙美子 「屋久島紀行」
...家へ着くと、すぐに居ついてしまい、すぐ妻の非常なお気に入りになった...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「黒猫」
...彼はもうひと息でわたしの宿へ着くというところまで来ていて殺されたのであった...
松本泰 「謎の街」
...同じ港に着くのでございましょうね」佐渡と宮崎とは顔を見合わせて...
森鴎外 「山椒大夫」
...「なるべく危険なところには近よらないようにしよう」船が浦粕へ着くと...
山本周五郎 「青べか物語」
...ツイこの間も香港に着く前にチョットした口論から船医をノシてしまったので...
夢野久作 「幽霊と推進機」
...吊ランプ下げた海峡の船が下関に着くと...
吉行エイスケ 「飛行機から墜ちるまで」
...落着くに違いない...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...この報が一五一三年春マラッカに着くと...
和辻哲郎 「鎖国」
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