...却つて、駿河台では野村と同じ室に居て、牛込へは時々遊びに来た渠の従弟といふ青年に心を許して居たが、其青年は、頗る率直な、真摯な、冐険心に富んで、何日でもニコニコ笑つてる男であつたけれど、談一度(ひとたび)野村の事に移ると、急に顔を曇らせて、「従兄には弱つて了ひます...
石川啄木 「病院の窓」
...絶えずその道を踏み進んで行った真摯な態度を見てゆきますと...
石原純 「マイケル・ファラデイ」
...専心(せんしん)に自然の研究に熱中していた真摯な姿はいかにも尊敬に値するものであったと思われるのです...
石原純 「ロバート・ボイル」
...より多く真摯なる注意を払ふことを教へられなかつたなら...
エレン・ケイ 伊藤野枝訳 「恋愛と道徳」
...正造は真摯な面持で膝を乗り出し...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...憐む可き天女の真摯なる物語は...
高木敏雄 「比較神話学」
...彼は細心にして慎独の工夫あり、謹厳にして妄りに放言高論せざるが故に、彼れの共同者は、彼れと秘密を語り、大事を謀りて危まざるなり、彼は批評せずして計画し、実行し、否らずむば沈黙するが故に、国民の眼には頗る陰気にして腹黒き政治家に見ゆるも、彼れの親近者及び共同者に対する行動は、真摯なる考慮、動揺せざる決断、負托に背かざる信義、責任に対する大なる信念を以て表現せらる...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...それを真摯な鋭い眼で眺むる時には...
豊島与志雄 「ヒューメーンということに就て」
...人間(にんげん)は熱誠を以て当(あた)つて然るべき程に、高尚な、真摯な、純粋な、動機や行為を常住に有するものではない...
夏目漱石 「それから」
...こうした傾向が、男の心の生来の感情だとすれば、相手を保護してやろうといった矜持はいつだって女に有利なように働くのではないだろうか? ここに愛が加わったなら、あの感謝の気持ちが、真摯な魂の中に、何よりも大切な喜びとして存在することになる...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...大袈裟に云へば万象に対してその程度の親密さを抱いてゐる真摯な温厚さであることは解る...
牧野信一 「海浜日誌」
...又その方向に真摯な努力をつづける偽りない自身の政党を選別するときが来ることを思わずにはいられないのである...
宮本百合子 「現実に立って」
...しかも非常に真摯な八角時計が...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...願くば汝の上に真摯なるものの数個の批評をもつて汝の精神の糧をおくられむことを祈れ...
室生犀星 「抒情小曲集」
...」かれは真摯な顔をした...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...この牧師の異状な迄に真摯な態度がひどく信者達を動かしたのであった...
矢田津世子 「反逆」
...より完全な記述と記録が真摯な学究の裁量に任されているからである...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「時間からの影」
...以て真摯な学究の便を図るべきではないかと思うようになった...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「時間からの影」
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