...さうして僕の心が高きに行かうとすればするほど此二つのものゝ矛盾が――從つて又ジンリヒ・エローテイツシユの興味そのものが益目立つて來るのはやむを得ない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...純白の羽織の紐が目立つ...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...外(そと)は街燈とアスファルトばかりが目立つ...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...西方三四里の外に、東京市あれど、目立つは、たゞ凌雲閣と幾百の煙突が吐く烟と也...
大町桂月 「國府臺」
...遙々本郷西片町から出掛けて來た書生さんは誰の目にも目立つと見えてぢろ/\と人が見る...
高濱虚子 「俳諧師」
...胸の真紅のカーネーションも目立つ...
太宰治 「女生徒」
...だいぶよごれの目立つ毛糸の上着やパンツを引っぱって...
壺井栄 「大根の葉」
...ひときわ目立つ段のついた鼻を指しながら...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...が、やがて、その女の大阪弁を、また、若く作っているために、なおさら目立つ、その容貌の醜くさを烈しく憎みはじめた...
中島敦 「プウルの傍で」
...患者の事故的な出来事または精神的た変化は、この点において意味があると見做され、例えば、妄想、意識混濁、不眠、または熟睡、麻酔または突然の麻痺、突然の体温低下、発汗、静脈が目立つ、呼吸困難、運動困難、舌の乾燥、など...
マクス・ノイバーガー Max Neuburger 水上茂樹訳 「医学の歴史」
...ヤケに目立つ」「止さないか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...分厚く角張り毛むくじゃらの指が目立つ手を持ち...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...男が目立つて血色がよくなつて...
平出修 「計画」
...それでも彼の顔の特徴は昔と変らず目立つものであった...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「アッシャー家の崩壊」
...その目立つのが何物だと云ふことにはなつてゐない...
エドガア・アルラン・ポオ Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「病院横町の殺人犯」
...東京でございます」人の往来も追々と目立つほどになった...
本庄陸男 「石狩川」
...文明諸国民の商業がこれをより低級な社会段階ほど目立つことを妨げるとはいえ...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...殊に目立つのは、その者の深編笠の紐の辺りから胸へかけて真ッ黒な長髯がそよいでいることであった――と、彼の心耳に何が触れたか、初めてすッくと立ち上がって、々(けいけい)たる眼光を八方に配り出した...
吉川英治 「剣難女難」
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