...何處といふ目的もなく街から街へり歩いて居た...
石川啄木 「病院の窓」
...ただ何となく目的もなく果て知らぬ密林に歩をすすめているに過ぎなかった...
梅崎春生 「日の果て」
...そうでなく何の目的もなくブラリと散歩に出たりすると...
高見順 「如何なる星の下に」
...生活の目的もなく...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「妻」
...一般にそれらの青年は、閑(ひま)な連中で、意志もなく、目的もなく、存在の理由をも有せず、勉強の机を恐れ、自分一人になるのを恐れ、肱掛椅子(ひじかけいす)にいつまでもすわり込み、自分の家に帰って自分自身と差し向かいになることを避けるためには、あらゆる口実を設けながら、珈琲店や芝居をうろつき回っていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...それでみると、嘆息のまにまに、不規則に、秩序もなく、選択もなく、目的もなく、折りに従って、考えをそのまままき散らしたものらしかった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...これもなんらの目的もなく柳原の土手の方へ向った時に...
中里介山 「大菩薩峠」
...広い座敷を右左に目的もなく往ったり来たりした...
夏目漱石 「行人」
...ややもすると世の中ではほとんど目的もなく騒ぎ散らすをもって...
新渡戸稲造 「自警録」
...明日からは何の目的もなく...
林芙美子 「雨」
...目的もなくさすらつてゐるやうな荒凉としたおもむきが...
林芙美子 「浮雲」
...ひとりでこつこつ目的もなく歩いて来たいと思っている...
林芙美子 「生活」
...きんは何の目的もなくうろうろと外出する事はきらいであった...
林芙美子 「晩菊」
...かれ自身何の目的もなく...
室生犀星 「幻影の都市」
...かくべつ目的もなくあるいていた...
山本周五郎 「さぶ」
...本所とか深川あたりを目的もなく歩きまわったり...
山本周五郎 「はたし状」
...何の目的もなく海外を渡るものは...
横光利一 「欧洲紀行」
...人間の怒りや、獸の怒りは疲れが來て、速かに消えてしまふ――理由もなく、目的もなく、生の如く、死の如く不思議な無生物の怒りは、長く、長く忍ばなければならない...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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