...椴子のまわしを締め込んで、土俵に躍り上って、さあ来い、と両手をひろげて立ちはだかれば、皆々、才兵衛の幼少の頃からの馬鹿力(ばかぢから)を知っているので、にわかに興覚めて、そそくさと着物を着て帰り仕度をする者もあり、若旦那(わかだんな)、およしなさい、へへ、ご身分にかかわりますよ、とお世辞だか忠告だか非難だか、わけのわからぬ事を人の陰に顔をかくして小声で言う者もあり、その中に、上方からくだって来た鰐口(わにぐち)という本職の角力、上方では弱くて出世もできなかったが田舎へ来ればやはり永年たたき込んだ四十八手がものを言い在郷(ざいごう)の若い衆の糞力(くそぢから)を軽くあしらっている男、では一番、と平気で土俵にあがって、おのれと血相変えて飛び込んで来る才兵衛の足を払って、苦もなく捻(ね)じ伏せた...
太宰治 「新釈諸国噺」
...ましてそう云う風にして皆々様のお気に召したら...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...豫定ヲ早メテ明二十四日皆々引キ揚ゲルコトニスルカラ...
谷崎潤一郎 「瘋癲老人日記」
...此様(こんな)に皆々(みんな)に爪弾(つまはじき)されて……悪い事べい為て居て...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...(皆々代る/″\長者に近づきて...
シェークスピヤ William Shakespeare 坪内逍遙訳 「ロミオとヂュリエット」
...御許様(おんもとさま)御家内皆々様には御変りも御座いませんか...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...皆々驚く中(うち)にも安堵(あんど)の体(てい)にて一人の男の背に娘御をかつぎ載せ...
永井荷風 「榎物語」
...皆々狼狽(ろうばい)して逃げ隠れようとする...
中里介山 「大菩薩峠」
...そりゃあそうと、怪我をさせっぱなしもかわいそうだから、ひとつその裸松様というのを見舞って上げずばなるまい」と言って道庵は、群がる人をかきわけて、倒れている裸松の傍へよって診察をはじめましたから、皆々、いよいよ気の知れない先生だと思いました...
中里介山 「大菩薩峠」
...その時居られました方々にも皆々様之を拝見なされ...
浜尾四郎 「殺された天一坊」
...皆々あまり善良すぎる人達故に...
林芙美子 「新版 放浪記」
...その頃には皆々うち寄つて笑ひたきもの...
樋口一葉 「大つごもり」
...皆々(みな/\)手(て)を引(ひ)いて鬼(おに)に喰(く)はすと威(おど)かしてゞも居(ゐ)やう...
樋口一葉 「十三夜」
...皆々ほんたうの貴族になつたつもりで...
牧野信一 「船の中の鼠」
...「さようなれば皆々様...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...皆々怪しんで地上へ引き出し...
南方熊楠 「十二支考」
...皆々釣り居たるに...
武者金吉 「地震なまず」
...界隈にても皆々思ひがけなき事に存じ候...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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