...天に連(つらな)った一点の白帆は...
泉鏡花 「婦系図」
...溶々たる大利根の下流、それと知られて、白帆屋上を行く...
大町桂月 「北總の十六島」
...そこに白帆が列をなして幾つともなく通っている...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...そして密(マヽ)柑があつて(白船居)どうやら霽れさうな松のみどり沖から白帆の霽れてくる埋立地のそここゝ咲いてゐる頬かむりして夏めく風にそよいでる棕櫚竹の一本を伐る西瓜とパヽイヤとさて何を添へようか(白船居)春蘭そうして新聞むつまじく白髪となつてゐられる□星も見えない旅をつゞけてゐる□・岩へふんどし干してをいて・若葉のしづくで笠のしづくでよく話した...
種田山頭火 「行乞記」
...照りて萬朶の花霞花にも勝る身の粧あるは歸鳥の影呑みてゆふべ奇峯の夏の空海原遙か泛びては紛ふ白帆の影寒く...
土井晩翠 「天地有情」
...江の島の方(かた)より出(い)で来たりし白帆(しらほ)一つ...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...さような中にも眼を引いたのは浜辺に沿うて小さな白帆が馳せ行く...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...蘆荻(ろてき)白帆(はくはん)の閑寂をのみ求めたる事なり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...側は漂渺(ひょうびょう)たる隅田の川水青うして白帆に風を孕(はら)み波に眠れる都鳥の艪楫(ろしゅう)に夢を破られて飛び立つ羽音(はおと)も物たるげなり...
永井荷風 「向嶋」
...だから篠の梢を離れて高瀬船の全形が見える頃は白帆は遙かに小さく蹙まつて居る...
長塚節 「芋掘り」
...だから篠の梢を離れて高瀬舟の全形が見える頃は白帆は遙かに小さく蹙まつて居る...
長塚節 「寫生斷片」
...遙かの白帆は極めてゆるい速度を以ていくらかづゝ入江の口の方へ動きつゝある...
長塚節 「白甜瓜」
...あれが石の卷だといふ所に白帆が二つ三つ見える...
長塚節 「旅の日記」
...白帆を揚げた小舟は又それと行き違ひに塩竈をさして籬が島のあなたへはひる...
長塚節 「旅の日記」
...江戸川(えどがは)の水(みづ)を溯(さかのぼ)る高瀬船(たかせぶね)の白帆(しらほ)も暖(あたたか)く見(み)えて...
長塚節 「土」
...白帆(しらほ)をかけた押送(おしおく)り船(ぶね)が...
長谷川時雨 「朱絃舎浜子」
...何百という白帆が通るというのは...
柳田国男 「故郷七十年」
...岬の沖をギク/\艪の音がして白帆が一艘...
吉江喬松 「伊良湖の旅」
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