...東の店に痰切飴(たんきり)や氷糸糖(アルヘイ)を買ひに行つた...
石川啄木 「刑余の叔父」
...薄れた白(しろ)つぽい日の目(め)は酒場(さかば)の床(ゆか)に吐散(はきち)らした痰(たん)のやうで...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...自分でも要慎(ようじん)して痰(たん)は必ず鼻紙へ取って決してやたらと棄(す)てなかった...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...先刻はいた痰(たん)が腐った牡蠣(かき)のように床に付着している...
梅崎春生 「日の果て」
...痰(たん)持と見えて...
薄田泣菫 「小壺狩」
...そこの土の上に血痰を吐いて...
武田麟太郎 「現代詩」
...血痰しきり...
太宰治 「悶悶日記」
...そのまま思いきろうと咽喉(のど)まで出しかけた痰唾(たんつば)をぐっと押えてまた呑(の)み込み...
近松秋江 「うつり香」
...一両日前の句に「痰のつまりし仏かな」が讖(しん)をなしたのである...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...六月頃まで、横浜、東京間で、二十回位、痰の出たのが、この頃は、二三回である...
直木三十五 「死までを語る」
...袂(たもと)からハンケチを出して痰(たん)を取る...
夏目漱石 「野分」
...咳く毎に出た血痰も薄まり...
北條民雄 「戯画」
...これを食すると痰が取れるといっている...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...烈火のごとく憤って男爵夫人に痰呵(たんか)を切り...
南方熊楠 「十二支考」
...何をしていいのか私には分らない様になって仕舞ったので只妹の枕元に座って小さな手を握って喉の奥に痰がからまってぜえぜえ云う音をきいたり苦しいためか身もだえする手を押えたり気が遠くなるほど苦しい刻一刻を過した...
宮本百合子 「悲しめる心」
...その飲んだ丈の酒の利足(りそく)を痰唾にして...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 森林太郎訳 「老人」
...王様が痰をお吐きになる時は...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...このころより咳痰に血線を見る...
吉川英治 「年譜」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??