...血清療法や化学療法が充分に進歩し、区役所の世話も完全に行き届いて、今日は種痘、明日は実扶的里の血清注射、明後日は腸窒扶斯のワクチン療法、その次の日は発疹窒扶斯、その次の日は猩紅熱と、下層の人民まで強制的にやらせる時代には、また名も知らぬ新しい伝染病が幾つも生じて、病気に罹る虞は却つて今日以上に上る如きことは無いであらうか...
丘浅次郎 「自然の復讐」
...有松氏の顔は名代の痘痕面(あばたづら)なので...
薄田泣菫 「茶話」
...漱石氏はその日もいつもと同じやうに薄痘(うすいも)のある顔をしてゐた...
薄田泣菫 「茶話」
...痘痕のある支那人らしい支那人...
種田山頭火 「行乞記」
...夜、再種痘、下駄をかへられて不愉快だつた...
種田山頭火 「其中日記」
...爾来こゝに、孜々(しし)として仁術を続け、貧民の施療、小児の種痘なぞ、其数も夥しいものになった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...痘痕(あばた)があり...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...痘瘡面(あばたづら)のたまらない銀行家が昨日その娘に思いをかけたんだ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...蘇生したけれど彼は満面に豌豆大の痘痕を止めた...
長塚節 「太十と其犬」
...彼(かれ)の顏(かほ)には痘痕(あばた)を深(ふか)く印(いん)して居(ゐ)る...
長塚節 「土」
...九主人は痘痕面(あばたづら)である...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...この点(てん)から見ると主人の痘痕(あばた)も冥々(めいめい)の裡(うち)に妙な功徳(くどく)を施こしている...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...それは痘痕(あばた)どころか...
野村胡堂 「法悦クラブ」
...伯母(おば)さんの痘痕(あばた)は見(み)えぬかえと笑(わら)ふに...
樋口一葉 「たけくらべ」
...天然痘といった風なものが流行(はや)らなかったかなどということを...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...其家に痘科鍵(とうくわけん)を講ずる会があつたと見える...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...錦橋がデビユウとして痘書を講じた時...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...躋寿館には独美のために始て痘科の講座が置かれたのである...
森鴎外 「渋江抽斎」
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