...またもや疼くような懊悩を催してくるのであった...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...疼くに伴(つ)れて熱(ほて)って来た...
夏目漱石 「門」
...けばけばしい日光の反射が疼くやうに網膜を差すのに眼を細めながら...
南部修太郎 「疑惑」
...折れた歯のように疼く足で...
葉山嘉樹 「浚渫船」
...一方ではまだ昔の夢が疼くやうに僕のなかにあつた...
原民喜 「飢ゑ」
...いま頭のなかは疼くやうに緑のかがやきで一杯になつてゆくやうだつた...
原民喜 「永遠のみどり」
...そのような生存感ばかりが疼くように美しかった...
原民喜 「苦しく美しき夏」
...彼の肩は疼くやうにだるかつた...
原民喜 「氷花」
...実際左の肩の三角筋がぼうと熱をもって疼く...
原民喜 「針」
...烈しい火照りは疼くやうに僕の方にも伝はつて来た...
原民喜 「火の子供」
...肩も足も疼くやうに熱つぽい...
原民喜 「魔のひととき」
...胸の奥底が、疼く...
火野葦平 「花と龍」
...身体の方々が疼く...
火野葦平 「花と龍」
...疼くのが止(と)まる」「阿呆(あほ)なこと...
火野葦平 「花と龍」
...「それに頭が痛い、胸も疼く...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...繃帯は白い 小ぢんまりした丸顔でチョコンと坐つて居る丈夫なとき働いてゐるときすつかり忘れられて繃帯よお前は戸棚の隅に転げて居るああ しかし俺が傷つき痛んだとき繃帯よお前はぐるぐる伸びて疼く患部を優しく包み温める俺の唯一の保護者である繃帯の長さは誰でも計れるだらうだが俺は現在(いま)計れぬ深い繃帯の愛情を感謝してゐる 浸つてゐるこれは昭和九年の冬...
北條民雄 「癩院記録」
...三河屋の七十隠居へもらわれていく、そんな暗い悲しい惨(いた)ましいお艶ちゃんとの別れだから、俺の心は痛み、疼くのだ...
正岡容 「寄席」
...おつねさんを前にして不意に胸の疼くような嫉妬を感じた...
矢田津世子 「女心拾遺」
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