...軽い疼(いた)みのある所をそっと平手でさすりながら...
有島武郎 「或る女」
...今にも頭が堪へ難い程重くなつてズクズク疼(うづ)き出す様な気がして...
石川啄木 「病院の窓」
...彼らはそれぞれ持前の騒々しさ、うるささ、痒さ、疼(いた)さ、不気味さをもつて、間(ま)がな隙(すき)がな私たちに襲ひかかり、私たちをして奔命に疲れしむるのみか、何よりも大切な心の落つきを失はせ、絶えず気持をいらいらさせる...
薄田泣菫 「独楽園」
...実に何んともいいようのない疼痛(とうつう)を感じて...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...私を疼(うず)かせてくるのであった...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...かくの如き疼痛を発したのである...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...空腹と疲労と疼痛とで皆はすっかりへたばってしまった...
永井隆 「長崎の鐘」
...疼痛のために内分泌に何か特殊の複雑な治療素とでも云えるものが極微量に出来て...
中谷宇吉郎 「痛みの効用」
...疲労と疼痛(とうつう)とで失心したような状態に陥るのであった...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...嫂の高子の顔は思いあまって茫(ぼう)と疼(うず)くようなものが感じられた...
原民喜 「壊滅の序曲」
...この膝節(くるぶし)の上んところが疼々(ずきずき)するのですよ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...わづらつた左の肋膜がまだ疼(いた)むので右に臂枕をした...
平出修 「二黒の巳」
...繃帯は白い 小ぢんまりした丸顔でチョコンと坐つて居る丈夫なとき働いてゐるときすつかり忘れられて繃帯よお前は戸棚の隅に転げて居るああ しかし俺が傷つき痛んだとき繃帯よお前はぐるぐる伸びて疼く患部を優しく包み温める俺の唯一の保護者である繃帯の長さは誰でも計れるだらうだが俺は現在(いま)計れぬ深い繃帯の愛情を感謝してゐる 浸つてゐるこれは昭和九年の冬...
北條民雄 「癩院記録」
...テジタイ(物理学の「音」その儘な医者の声)じりじりっと肉が焦げたらお終いだドクトルの労賃はまた素的に高い腰髄魔睡が醒めると皮をはぐような疼痛看護婦の眼は冷たく氷色の侮蔑淫売婦...
細井和喜蔵 「泥沼呪文」
...しきりに最前から一戦挑みかけたい闘争意識が火のように全身に疼いてきてならないのだった...
正岡容 「小説 圓朝」
...からだの何処かが疼いてくる...
室生犀星 「幻影の都市」
...彼が感じつづけていたそれと同じ疼(うず)きだった...
山川方夫 「待っている女」
...二つのふしぎな疼(うず)きのなかに...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??