...小使の老爺(おやぢ)に煮炊(にたき)をさして校長の田辺が常宿直(じやうしゆくちよく)をしてゐた...
石川啄木 「葉書」
...田辺定雄は少しも意外ではなかったのである...
犬田卯 「瘤」
...その店を出ると、そんなことを云ふなと止めたくせに女装の男が先に立つて、問ひもせぬに小説家に語つた所によると、――もう二年前にもなるが、その秋のちやうど夕飯頃、あの店が粥を食ふ零落者で混んでゐた時、ある男が(外套は、あら、田辺音松や、やつぱりわいの友だちや、と云つた)――その田辺が二銭払つて出ようとすると、主人は三銭置いて行けと請求し、何故かと聞けば、一銭の漬物を食つたから、と云ふので、田辺は驚き、いや、そんな覚えはない、と云ひ張り、この漬物皿は横にゐたやつが平げたのやと述べたが、主人は更に聞き入れず「食つた」「食はぬ」と争ひになり、果は、田辺がどんと胸をつかれると、悪いことに空き腹がつづいて力の抜けてゐた彼は、そのまま仰向けに倒れて敷石で頭を打ち――そして、もう二度と動かなかつたのである...
武田麟太郎 「釜ヶ崎」
...嘗ての田辺元博士が採用していた(最近清算した)光量子=実験用具の主観説には以前から反対な意見を有っていたものであり...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...この数年来の田辺元博士の論文だということを注意したい...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...田辺博士は矛盾対立の解決を専ら主体の道徳的行為に期待しているのだが...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...石原純・田辺元・等の諸氏の業績にも拘らず...
戸坂潤 「最近日本の科学論」
...田辺博士の哲学がもはや所謂西田哲学とは異った別なものになったということだから...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...高橋教授は西田博士や田辺博士やに較べれば印刷にした原稿の紙数は比較にならない程少ない(尤も他の哲学の教授に較べたら必ずしも少なくはない...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...併し教授は確かに西田・田辺の両氏に並べられていい哲学者であることを注目しなければならぬと思う...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...田辺哲学が菩薩に合致しようとしたりするのも偶然ではない...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...一方は郷里なる山城田辺に引込んで...
中里介山 「大菩薩峠」
...六月二十八日 (消印)〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(紀伊田辺の風景の写真絵はがき)〕こんなエハガキ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...田辺御籠城(ごろうじょう)の時功ありて...
森鴎外 「興津弥五右衛門の遺書」
...田辺侯爵は資生堂の昼間の画廊のときとは違い...
横光利一 「旅愁」
...」田辺侯爵のそう云い終らぬうちに...
横光利一 「旅愁」
...田辺から山越えでくるバスを待ち合わせる...
吉川英治 「随筆 新平家」
...田辺剣三郎の顔を見た...
吉川英治 「旗岡巡査」
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