...雪子が例の、先方にばかりしゃべらせて、唯(ただ)はあはあと受け答えしたであろうことは想像に難くないのであるが、それでも妙子から聞いているところでは、田舎育ちの、まだ都会馴(な)れない二十一二の娘だと云うその妹が、兄の身を案じるあまり非常な決断と勇気を以て懸けて来た電話であることは、その息づかいと語調に依(よ)っても察しられたので、承知しました、直(す)ぐ東京へ云ってやりますと云って、早速彼女はあの処置を取ったのであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...元来が田舎育ちの無骨者(ぶこつもの)なので...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...いつも鳥のことで賭をしているのだが、五ポンド賭けていい、僕の食べた鳥は、田舎育ちだ...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「蒼炎石」
...しかも日本でも田舎育ちの若い者が...
中谷宇吉郎 「サラダの謎」
...どこから見ても田舎育ちの御婆さんであった...
夏目漱石 「道草」
...延命竹などとも称される」生れながらの田舎育ちなら...
野村胡堂 「胡堂百話」
...田舎育ちの少女にも即座に納得がいくような心のこもった仕方で...
久生十蘭 「復活祭」
...田舎育ちの野暮な人間である……」「…………」何を云つてゐるのか...
牧野信一 「鏡地獄」
...田舎育ちのおどり子はこの有様に全くおどろいてしまひました...
槇村浩 「おどり子の出世」
...楽阿弥も魂を失うて俄(にわか)に虎という字を書いて見すれども田舎育ちの犬なりければ読めざりけん...
南方熊楠 「十二支考」
...田舎育ちの者かかる美女に手を握られた嬉しさ心魂に徹し...
南方熊楠 「十二支考」
...田舎育ちの永井をひきまわし...
山本周五郎 「古今集巻之五」
...……その子は当年十一、田舎育ちにて、体もひよわい者でおざる...
吉川英治 「私本太平記」
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