...甥の申す事などには耳を借そうとも致しません...
芥川龍之介 「竜」
...坊やんの甥に手を引かれて隣国の信濃へしばらく身をかくした...
飯田蛇笏 「秋風」
...甥(をひ)や彼の肉親の者はほんの義理で電報を打つたつもりらしく...
武田麟太郎 「現代詩」
...それは叔父と甥の間の事だ...
太宰治 「新ハムレット」
...甥女が可哀そうでしかたがない...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「五通」
...わたしには甥(おい)になるのだからいとおしゅうてたずねるのだ」と仰っしゃりますので...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...その同じ甥をじっと眺めているのであった...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...それが彼の甥の眼と耳とに強く響いた...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...」甥が日ののきに裏の井戸端で...
徳田秋声 「黴」
...報告(しらせ)によって弟や甥(おい)が駈(か)けつけ...
徳田秋声 「縮図」
...叔父と甥(おい)との体に...
徳田秋声 「爛」
...「――そのうえ店のこと万端取仕切っている甥(おい)の吉三郎さんが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...甥の音次郎とわかると...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...父君の昔に越えて幸福な道を踏んでもそれが不当とも思えない偉さが彼(あれ)にある」と御甥(おい)をほめておいでになった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...何故だかわからないままになっているのです……しかしタッタ一人その源次郎氏の甥(おい)というのが残っていたそうです...
夢野久作 「復讐」
...初めて甥(おい)の楠木弥四郎にたずねていた...
吉川英治 「私本太平記」
...――だが、時刻はまだ早い』『戸外(そと)は大雪、それにお年老(としより)の足もと、早目にお出かけなされて丁度よい加減ではござりませぬか』利かない気の老人が、若い甥の、その言葉に素直でいる筈はない...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...渡辺の甥は、指さして、「この柑子坂(こうじざか)の下で宮本武蔵という男が今物々しい身支度をして、太刀のさやを払い、往来に突っ立って、通行の者をいちいちすごい眼で調べている」「えっ、武蔵が」「おれが通るとおれの前へずかずか来て、名を訊くから、おれは伊賀者の渡辺半蔵の甥で、柘植三之丞(つげさんのじょう)という者だと答えると、急に詫びて、イヤ失礼いたした、鈴鹿谷の辻風黄平の手下でなければお通りくださいと落ちついていうのだ」「ほ……」「何かあるので? ――と、おれから今度は質問すると、されば、野洲川(やすがわ)野武士の果てで、宍戸(ししど)梅軒と化名(けみょう)している辻風黄平とその手下の者が、この道すじで、自分を殺害しようと企(たくら)んでいることを往来の風聞によって知ったゆえ、その分なれば、むざむざ彼らの陥穽(かんせい)に落ちるよりも、この附近に足場をとり最期まで闘って、斬り死にする覚悟だといい放っていた」「ほんとか、三之丞」「誰が嘘をいおう、さもなくて、宮本武蔵などという旅の者をおれが知ろうはずはない」明らかに三名の顔いろが動揺しはじめた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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