...私の生れ故郷は、瀬戸内海の波の音のきこえる小村で、春になると、桜鯛がよく網に上った、それを売り歩く魚商人の声が、陽気に村々に聞えて来ると、村人は初めて海の春が、自分たちの貧しい食膳にも上るようになったのを喜んだものだ...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...生れ故郷と、その小都会とは、十里も離れていないのでした...
太宰治 「おしゃれ童子」
...生れ故郷の石田村へ来たのを舊恩のある百姓が匿(かく)まっているのだと云う者や...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...幸子としても生れ故郷の根拠を失ってしまうのであるから...
谷崎潤一郎 「細雪」
...たゞ宮市――生れ故郷の土を踏んでライスカレーを食べて帰つた...
種田山頭火 「其中日記」
...久しぶりにわが生れ故郷の東京に新らしい世帯を持つ事になった彼の懐中には一片の銀貨さえなかった...
夏目漱石 「道草」
...天羽郡と聞えし生れ故郷を振すてけるより...
一葉 「暗夜」
...生れ故郷であつても...
牧野信一 「貧しき日録」
...まだ以前の生れ故郷の生活にしつくりあてはまらない心持から...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...もし生れ故郷以外の土地で死ぬことをおそれるなら...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...もう一つは生れ故郷...
柳田国男 「故郷七十年」
...私の生れ故郷の文珠堂の正月の追儺などは...
柳田國男 「兒童語彙解説」
...只生れ故郷の国の名を呼ばれているといったような...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...生れ故郷の博多に錦を? 飾り...
夢野久作 「近世快人伝」
...泣く泣くも生れ故郷の国土をはなれた...
吉川英治 「三国志」
...生れ故郷の王城でもご不案内におなんなすったはむりもない...
吉川英治 「新・水滸伝」
...生れ故郷では――悠々として変化のない大自然にごま化されて――眼に見るほどには...
吉川英治 「平の将門」
...この岐阜(ぎふ)の御城下でも、生れ故郷でも、広い天下の何処へでも、行きたい所へ行ってみる事ができます...
吉川英治 「茶漬三略」
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