...生れ故郷が詳(つまび)らかに思出されて...
石川啄木 「天鵞絨」
...此処は私の生れ故郷なのです...
伊藤野枝 「九州より」
...私の生れ故郷は、瀬戸内海の波の音のきこえる小村で、春になると、桜鯛がよく網に上った、それを売り歩く魚商人の声が、陽気に村々に聞えて来ると、村人は初めて海の春が、自分たちの貧しい食膳にも上るようになったのを喜んだものだ...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...すぐに生れ故郷の自慢話をもち出したものだ...
薄田泣菫 「茶話」
...昭和二六・一一報告あなたのきらひな東京へ山からこんどきてみると生れ故郷の東京が文化のがらくたに埋もれて足のふみ場もないやうです...
高村光太郎 「智恵子抄」
...幸子としても生れ故郷の根拠を失ってしまうのであるから...
谷崎潤一郎 「細雪」
...東北の方にあるその生れ故郷へ立寄って...
徳田秋声 「あらくれ」
...生れ故郷の……という歌」「生れ故郷の氏神(うじがみ)さんの...
中里介山 「大菩薩峠」
...豊太閤の生れ故郷というところへ御挨拶に来てみたのだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...田山白雲がちょっと手がかりを失って、力負けの形となって、二の矢がつげないでいたが、そこで引込む白雲ではなく、盛り返してからみついたのは、「生れ故郷は、出羽の米沢だとおっしゃいましたね」「左様左様、出羽の米沢の吾妻山(あずまやま)の下で生れたのだ」出羽の米沢だけなら無事だったが、吾妻山と言ったので因縁がついたらしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...生れ故郷の追分をお前の絃(いと)で流しの稼ぎだ...
長谷川伸 「沓掛時次郎 三幕十場」
...生れ故郷のことを思ひ出してでもゐるといつた風に...
堀辰雄 「CARTE POSTALE」
...「生れ故郷の寝心地は悪うあるまいが」「くつわの音もとんと聞えませなんだ」と大沼喜三郎が答えた...
本庄陸男 「石狩川」
...ところが初めて私が生れ故郷の播州を出て関東に移ったのは...
柳田国男 「故郷七十年」
...ようやく生れ故郷へ帰って来たんだが...
山本周五郎 「やぶからし」
...只生れ故郷の国の名を呼ばれているといったような...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...泣く泣くも生れ故郷の国土をはなれた...
吉川英治 「三国志」
...生れ故郷では――悠々として変化のない大自然にごま化されて――眼に見るほどには...
吉川英治 「平の将門」
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