...生ぬるい液体が、快よい重量感をもって、咽喉(のど)を下って行った...
梅崎春生 「桜島」
...どうも生ぬるい感じがあった...
海野十三 「爆薬の花籠」
...貝が舌を出すようにふとんから脛(すね)を出して寝た涼しいような暑いような機嫌がいいようなくたびれたような生ぬるいような濁った塩水のようななまぐさいような夕方はまつゆにされるはまぐりのようなこうした詩を...
高見順 「いやな感じ」
...生ぬるい自由なんて...
太宰治 「乞食学生」
...そんな生ぬるいものではなかった...
太宰治 「八十八夜」
...少なくも自身にとっては下手(へた)な芸術や半熟の哲学や生ぬるい宗教よりもプラグマティックなものである...
寺田寅彦 「コーヒー哲学序説」
...とも子はそれを噛り生ぬるい湯を呑んで外へ出た...
戸田豊子 「歩む」
...三十四室内はこうも張りきった怒罵、悪言の真最中であるにかかわらず、ちょうどこの前後の時、一つの生ぬるい、だらしのない叫び声が、思いがけない方角から起ったのは――「頼むよう、助けてくんなよう、人殺し――」なんという生ぬるい、だらしのない声だろう...
中里介山 「大菩薩峠」
...かういふときの人間の感覚の生ぬるい不快さから惨虐な罪が生れる...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...ある生ぬるい晩を歩きにでると世の中がすつかり変化(かは)つてしまつたやうに感じる...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...子等は柄杓に一杯又は二杯の生ぬるい水を...
葉山嘉樹 「井戸の底に埃の溜つた話」
...脂湿りのする生ぬるい掌の中へ加十の指先を巻込みながら...
久生十蘭 「魔都」
...生ぬるい風がただよう河岸を...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...生ぬるい型通りの友愛などを...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...生ぬるい涙をあとからあとから流しているばかりであった...
夢野久作 「木魂」
...そんな生ぬるい形式を...
吉川英治 「宮本武蔵」
...私たちが生ぬるい心で少しも早く何事かを仕上げようなどと考えるのは...
和辻哲郎 「ある思想家の手紙」
...まさしく彼は自分の浅い生ぬるい経験から押して...
和辻哲郎 「転向」
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