...白茶けた蟹の死んだのは、晒されたやうで、見すぼらしく、哀れに、みじめであるが、黒と赤とで彩られた稍大きい蟹が、手足處を異にして死んでゐるのを見ると、生々しくて、刺戟の強さは又格別である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...それは荒い大海を生々しく連想させるだけで...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...それに、彼が再び包む時にチラと見た所によると、額の表面に描かれた極彩色の絵が、妙に生々しく、何となく世の常(つね)ならず見えたことであった...
江戸川乱歩 「押絵と旅する男」
...この時にはまだ生々しくにじんでゐたのだつたかも解らない...
鈴木三重吉 「赤い鳥」
...後になるほどへんに生々しく浮んでくるのだった...
豊島与志雄 「秦の憂愁」
...彼の光輝に満ちた笞は真理を生々しく語るものです...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...不思議に生々しく私のたなごころに残っている……...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...後には大きな不安と怒り――心に受けた傷とも言ふべきものが生々しくも殘りました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...生々しくもまた無言の劇...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...この言葉の響きがひどく生々しく娘の心を打ったので...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...しかし眼に見えぬ何かが生々しく感ぜられた...
北條民雄 「戯画」
...傷つけられた樹根の皮が生々しくむき出されて...
牧野信一 「肉桂樹」
...赤ペンキを生々しく塗ったポストがある...
松本泰 「秘められたる挿話」
...生々しく美しい鼻を眺めた...
室生犀星 「蛾」
...かくあれ十年の長い間生々しくもめまぐるしい歴史といふものを間近にみた...
吉川英治 「折々の記」
...平治の亂においても私が戰爭の樣相を生々しく書いてきたのも...
吉川英治 「折々の記」
...いかにも生々しくて辛い気がする...
吉川英治 「随筆 新平家」
...生々しく瞼(まぶた)に甦えり...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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