...現に今自分は、和泉屋市兵衛を逐い払った...
芥川龍之介 「戯作三昧」
...現に或時(いつか)の晩の如きは職工二人許りと連立つて行つた形跡があると云ふ事であつた...
石川啄木 「菊池君」
...現に自分は昨夜、居室の窓外から妙な奴がこっちをうかがっているのを見かけた...
海野十三 「地球を狙う者」
...死んだのは自分の児ではない、ほんとの児は生きている、この世にまだ生きているんだ、現に、男爵令息として学習院に通っているではないか、と、思うともう一刻も我慢が出来なくなり、その時からお屋敷の附近を彷徨(うろつ)き始めました...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「美人鷹匠」
...それが今現にどうなっているかをいつでも心に思い浮べる事が出来...
高村光太郎 「小刀の味」
...現に妙子は、旦那さんや御寮人様が心配しておいでなさるでしょうから、早くお宅へお帰りにならなければいけますまい、僕がお送りして行きますと、板倉にも促され、自分でもそう心付きながら、屋根の下に直ぐつづいている地面の上へ、―――軒まで届いているのだから訳なく降りられる土砂の上へ、―――何かそこにも危難が待ち構えているように思えて、ちょっとは降りて行く勇気がなかった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...現に文献を先例として引用しただけでは...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...珍々先生は現にその妾宅においてそのお妾によって...
永井荷風 「妾宅」
...現にあの色あの形そのものが一種の表情なんだからしかたがない」原口さんは...
夏目漱石 「三四郎」
...人類が従来存在しまたは現に存在しているあらゆる時代あらゆる国においても次の事実の存在することを...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...現に下谷仲徒士町(したやなかかちまち)に住してゐる...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...それで現にあの印行本にも余計な事は一切書き添えなかった...
森鴎外 「訳本ファウストについて」
...現に私どもが子供のころの亥の子の日という感覚と...
柳田国男 「故郷七十年」
...現に余と透谷とが日々論戦を為しつゝありし頃は透谷も余も共に麻布の霞町に住し日夕相往来したりしなり...
山路愛山 「透谷全集を読む」
...そして今は現に御側用人...
山本周五郎 「百足ちがい」
...私などは現に自分一個の貞操について保守主義者中の保守主義者であると評せられても笑って甘諾(かんだく)する位に厳粛な実行の日送りをしている...
与謝野晶子 「鏡心灯語 抄」
...なんとか口実をつけて減らす算段もするでしょうさ」「現にツイ先頃も...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...文字的表現においては常に同一であり得る...
和辻哲郎 「孔子」
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