...満月は飛行機より新鮮に空気を推進することの新鮮とは珊瑚の木の陰欝さをより以上に増すことの前のことである...
李箱 「且8氏の出発」
...小學最初級の友だちの、――現今は貴族院議員なり人の知つた商豪だが――邸が侍町にあつて、背戸の蓮池で飯粒で蛙を釣る、釣れるとも、目をぱち/\とやつて、腹をぶく/\と膨ます、と云ふのを聞くと、氏神の境内まで飛ばないと、蜻蛉さへ易くは見られない、雪國の城下でもせゝこましい町家に育つたものは、瑠璃の丁斑魚、珊瑚の鯉、五色の鮒が泳ぐとも聞かないのに、池を蓬莱の嶋に望んで、青蛙を釣る友だちは、寶貝のかくれ蓑を着て、白銀の糸を操るかと思つた...
泉鏡花 「遺稿」
...清らかな耳許(みみもと)に簪(かんざし)の珊瑚(さんご)が薄色に透通る...
泉鏡花 「怨霊借用」
...珊瑚(さんご)の六分珠(ろくぶだま)をおさえながら...
泉鏡花 「怨霊借用」
...……桃色の枝珊瑚樹...
泉鏡花 「海神別荘」
...ジタナ少女(をとめ)の頸(くび)にある珊瑚玉(さんごだま)...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...またその珊瑚礁の間には眞黒な海鼠がくつ附いてゐたり...
海野十三(佐野昌一) 「南太平洋科學風土記」
...村を離れようとすると珊瑚は泣いて...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「珊瑚」
...「珊瑚礁(さんごしょう)だったら...
寺島柾史 「怪奇人造島」
...貝や珊瑚(さんご)の首飾り...
寺田寅彦 「旅日記から(明治四十二年)」
...珊瑚球(さんごじゅ)のような物を...
徳田秋声 「足迹」
...すべての輪廓があんまり鮮明なためになんとなく馴れ親しみがたい感じがしてすこしうけ口な愛くるしい唇さへが海の底の冷たい珊瑚をきざんだかのやうに思はれたが...
中勘助 「銀の匙」
...珊瑚樹の五分玉の根がけだのというものが入っている...
中里介山 「大菩薩峠」
...智識をもって捏(こ)ね上げたる二十八珊(サンチ)の弾丸である...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...おもとの實(み)七づゝ四分と五分の無疵(むきず)の珊瑚...
長谷川時雨 「うづみ火」
...珊瑚の小枝は是れよりも剛(かた)く...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...あの伊太利珊瑚(イタリヤさんご)はどこにあった品物だか...
吉川英治 「江戸三国志」
...ウェントリクリテスのような指標となる典型的な化石を含んでいることから、この石灰岩は間違いなくコマンチ紀のものだと断定でき、それ以前の年代のものは一つとしてなかったにも拘らず、空洞に散らばっている破片には、これまで遥かに古い時代のものだと考えられてきた生命体が驚くべき比率で含まれていた――シルル紀ないしオルドビス紀まで遡る原始魚類、軟体動物、珊瑚すらも...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
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