...葉子に一種の獰悪(どうあく)な誇りをもってそれをして...
有島武郎 「或る女」
...その憎ったらしい獰猛な犬でなく...
高見順 「如何なる星の下に」
...怒れば獰猛になって敢闘する性質であったから...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...何かしら獰猛らしい感じのする肉体を...
豊島与志雄 「狐火」
...肉食獣のような獰猛(どうもう)狡獪(こうかい)な顔つきが現われた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...獰猛な煤煙とその方向...
仲村渠 「すらんらん集」
...またたく間(ま)に獰猛な顔が十四五揃(そろ)った...
夏目漱石 「坑夫」
...獰猛組(どうもうぐみ)とはまるで不釣合である...
夏目漱石 「坑夫」
...五寸の円の内部に獰悪(どうあく)なる夜叉の顔を辛うじて残して...
夏目漱石 「幻影の盾」
...海岸に近い密林の中にはワラという獰猛な食人種が住んでいるが...
久生十蘭 「三界万霊塔」
...一番獰猛(どうもう)なサメ種と分かったからだ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「幽霊島」
...かの獰猛な戦闘精神を醸成するに有力に寄与したものである...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...獰猛な物で形貌奇異だから古人が神としたのも無理でない...
南方熊楠 「十二支考」
...体力と獰猛さと狡智がエスキモー犬に匹敵した...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...鬚(ひげ)だらけの獰猛(どうもう)な赤面(あかづら)を仰ぎながら...
夢野久作 「戦場」
...底知れぬ獰猛(どうもう)さを雪白の毛並みにうねらせた...
吉川英治 「私本太平記」
...吉運到来がだいぶ獰猛(どうもう)性を和(やわら)げているのは事実だ...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...愛なく情なく血なく肉なくしてただ黄金にのみ執着する獰猛なスクルジは過去現在未来の幽霊に引っ張り回されて一夜の間に昔の夢のようなホームの楽しさと冷酷なる今と身近く迫れる暗き死の領とを痛切に見せられた...
和辻哲郎 「霊的本能主義」
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