...獣(けだもの)にでも見つかったら...
秋田雨雀 「三人の百姓」
...矢先にかけた鳥獣を時々部落へ持って帰った...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...二匹の獣(けもの)を駆り立てながら...
芥川龍之介 「杜子春」
...神様って獣は――獣だろうじゃ無えか...
有島武郎 「かんかん虫」
...獣類でもやはり、その本能に促がされて、ぼんやりして了ふ...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...何たる驚異、ああ何たる無惨! 隣りの檻の中に収容せられていたのは、昆虫にも非(あら)ず、鳥獣にも非ず、実に実に万物の霊長たる人間が入っていたのである...
海野十三 「地球盗難」
...○○獣がこれから廻ろうとしていたその最初から見ていたのであった...
海野十三 「○○獣」
...私の職務を邪魔しようとする邪悪な小獣たちに対する憤怒との間で立ちすくんでいること...
ジョージ・オーウェル George Orwell The Creative CAT 訳 「象を撃つ」
...何か一二疋好い獣を獲りたかった...
田中貢太郎 「忘恩」
...物を言わない獣類と人間との間に起こりうる情緒の反応の機微なのに再び驚かされた...
寺田寅彦 「子猫」
...いかなる禽獣(きんじゅう)ともお友達づきあいができるものと...
中里介山 「大菩薩峠」
...その獣に向って振ると...
中里介山 「大菩薩峠」
...山に入って猛獣毒蛇とも親しむだけの天才を持った小僧だから...
中里介山 「大菩薩峠」
...この珍獣を地でいったような奇魚が...
中谷宇吉郎 「異魚」
...漁師どものうち、其村出生の者、先達(せんだつて)、村に立帰りし時、彼の島といふは、五穀豊饒、魚貝鳥獣多く、日本のやうに不自由することあらじ、一村のこらず引越すならば、主人、地頭と言ふも居らぬゆえ、頭を抑へられる事なし、安楽世界とは、彼の島の事ならんなどと言ひしよしなるが、一村を挙げて欠落したるところより推せば、漁師どもの話に釣られ、その島に行きしものならんと「風聞雉子声」に見えたり、田中市太夫、深志甚十郎、七尾仁兵衛上書一、依御下命、文政丙戌九年十月二日、閉伊郡釜石、藤代長右衛門船にて北郡大湊を開帆、同十五日朝、八丈島、同十八日青ヶ島、鳥島を見過し、同月廿二日、八丈島の南三百里の処にて御申聞せ候無人島に行当り申候一、島之模様、十七八里程廻りの島一ツ一、十二三里程廻りの島一ツ一、廻り一里、二里、三里程づつの島十五程御座候一、猶、右之島々より南三十里ほどの処に、廻り十七八里、廻り十四五里の島四ツ一、十七八里程の島の高さ、伊豆大島の山より稍々高き程、湊(みなと)に可成所一ヶ所、西南に向ひ、広さ三町程、船二三十艘も繋ぎ可申、深さ干潮にて二尋、満潮にて四尋斗一、右十七八里程之島、田地に成可二町四方程の平地一ヶ所、切畑に成可一町四方程の平地、四五ヶ所も有之、人居申様子見えず、住荒したる体も御座無、天然無人の島と相見え申候一、右之島、山の谷々より水の流れ沢山に御座候、川の広サ二三間程、小石多く、浅き川に御座候一、端舟にて廻り見申候処、十四五、十二三里までの島々には、いづれも湊一二ヶ所づつ、水の流も有事、一町四方より四五反まで平地、一二ヶ所づつ一、二三里廻りの小島十四五斗、共に平地御座無、船繋に可成申候処相見へ不申一、以上之島、何れも無人島にて、大木生茂り、魚色々見申候、獣之類は御座無候か見合不申候右之島々に在之木之分一、蘇鉄 一、しゆろ 一、かしはの木一、みさぎ 一、桑の木 一、むくろじ一、朴 一、蛇紋木一、いづれも二抱三抱程の大木にて、棕櫚も林程多く御座候、磯とべらに幹廻り高さ十三尋程、茗荷の葉の様なる大木、その他、椰子、檳榔の木の様成ルも相見え申候一、右之島にて、鳥は鶯、岩つぐみ、山鳩、五位鷺の形なる柿色の鳥、鴎に似て魚を取(とり)候鳥(とり)一、魚は黒鯛、鯔、鮫、三尺斗の海老、三尺程も有ル章魚、亀は畳一畳程も有之青海亀、瑁(たいまい)、獲立も不成程、磯海苔の間、八尋より十尋程の海中に珊瑚沢山に有之、二月三月の内は鯨夥しく通行致候右之島にて取立申候物産一、赤珊瑚 ボケと申し、枝々スキ透ル、稀品の由、根本径二寸、枝ノヒロガリ三尺余、重サ三貫目以上のもの一ツ、一、白珊瑚、桃珊瑚、一貫目ほどのもの四ツ、外に枝珊瑚、珊瑚屑、十貫程有之一、瑁(たいまい)背甲五百六十七枚、縁板千七十二枚、尤モ島ニテハ焼継、寄継不叶、背甲のまま一、古柯の葉 薬草として稀品也、十貫目以上一、蛇紋木 径六寸、丈十二尺のもの十本右物産天草島にて唐船に売渡申候仕訳一、珊瑚 総体ニテ二万五千百二十両一、瑁(たいまい)総体ニテ一万二千百両一、古柯 三千七百両一、檳榔 三百四十両一、船は於長崎売払、陸地罷帰り申候 以上文政己卯二年十二月上書(あげがき)を読み終るのを待って、久太夫が深志にいった...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...女の肉に飢えた野獣(けだもの)だ! 兄上! もはやこの軍使と言葉を交す要はござりませぬ...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...この霜月三夜には山々の獣までが山から出て来て...
柳田国男 「年中行事覚書」
...この怪獣は石炭の餌(ゑ)を与へられず...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
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