...全く猛獣の相戦うのと異ならず...
丘浅次郎 「人類の生存競争」
...世間で、人間は十で禽獣、二十で発狂、三十で失敗、四十で山師、五十で罪人といっている...
岡倉覚三 村岡博訳 「茶の本」
...追ひ詰めて獣が狼狽(うろた)へるとき...
薄田泣菫 「茶話」
...事に依ると此の可哀さうな獣は...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...地上の走獣とのみ限ったわけのものではない...
中里介山 「大菩薩峠」
...このような獣が、やがて山の中で私の眼の前に躍り出してくるのだと思うと、自然に胸がどきどきして来るのを禁ずることが出来なかった...
中島敦 「虎狩」
...どうか雷獣ごときもののために僕を誤解しないように願います」森本は次に自分が今大連で電気公園の娯楽がかりを勤めている由(よし)を書いて...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...掌を煖炉で温めては一心に膃肭獣の背をさすっている...
久生十蘭 「海豹島」
...私は凡ての男にも女にも祝福を与えた、獣類にも、鳥にも魚にも、地に這う物にも飛ぶものにも、みどりの草にも茶いろの土にもさかまく波にも、吹き来り吹き去る風にも、焔(ほのお)の不思議さにも、すべてに祝福を与えた! 私は自分の罪のためにいつも悔いている、たった一つの罪のためにも断食をし祈りをした、かなしい哉――私は呪われている、何の罪が私を抑えているのか」するとムルタックは、そのあたりをまぶしくも美しく見せた幸福の涙の虹と美しい夢の奥から声をひびかせて、また言った...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「海豹」
...或地方の賞金つきの野獣狩りなんかにも出るのね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...)そして私の下の野獣が...
三好達治 「測量船」
...唐(から)にしかいない恐ろしい獣の形とかを描く人は...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...そのほら穴の入口で足あとを消すという獣のようにしなさい...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...鳥羽僧正(とばそうじょう)作と伝えられる高山寺本「鳥獣戯画」は愛す可き大芸術だ...
山本周五郎 「青べか日記」
...成る程……そこで四人の子供を左右に引連れた猛獣天女が...
夢野久作 「キチガイ地獄」
...鳥や獣(けもの)や...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...やがて、城太郎は、彼方のひくい芝地の沢に見える一かたまりの人数が、ただ一人の武蔵を、刃の中に取り囲んで、針をつつんで吹く旋風(つむじ)のような光景を描き出すと、「――畜生っ」ふたつの拳(こぶし)と共に飛び上がり、「卑怯だっ」と、絶叫し、「ええ、おいら大人ならば……」と、地だんだ踏んで泣き出し、「馬鹿っ、馬鹿っ」と、そこらじゅうを駈けあるき、「――おじさアん! おじさアん! おいらは、ここにいるよッ」しまいには彼自身が、完全なる神さまとなり切って、「――獣(けだもの)っ、獣っ、お師匠様を殺すと、おれが承知しないぞっ!」ありッたけな声で、さけんでいたものである...
吉川英治 「宮本武蔵」
...恰(あだか)も四肢(しし)を以て匍匐(ほうふく)する所の四足獣に化(くわ)し去(さ)りたるの想(おも)ひなし...
渡邊千吉郎 「利根水源探検紀行」
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