...・生きてゐるもののあはれがぬかるみのなか・いつも馬がつないである柳萠えはじめた・猫柳どうにかかうにか暮らせるけれどぬくい雨でうつてもついても歩かない牛の仔で・焼芋やいて暮らせて春めいた・監獄の塀たか/″\と春の雨ふる・病院の午後は紅梅の花さかり・ずんぶりと湯のあつくてあふれる(湯田温泉)・早春...
種田山頭火 「其中日記」
...川辺の猫柳が奇怪な形で蹲っている...
豊島与志雄 「霧の中」
...猫柳のような灌木が繁っていて...
永井荷風 「里の今昔」
...ああ 露しげくしつとりとぬれた猫柳 夜風のなかに動いてゐます...
萩原朔太郎 「青猫」
...猫柳つめたく青ざめた顏のうへにけ高くにほふ優美の月をうかべてゐます...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...ああ なにといふ戀しさなるぞこの青ざめた死靈にすがりつきてもてあそぶ夜風にふかれ猫柳のかげを暗くさまよふよ そは墓場のやさしい歌ごゑです...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...一年前の春……河畔の猫柳の芽がふくらみ...
牧野信一 「ゼーロン」
...唱(妻)が川縁の猫柳の根元を狙つてゐた...
牧野信一 「剥製」
...私は不安な上眼づかひで猫柳の杖を突き――一行は暁の星が輝いてゐる時刻に沼の縁を出発した...
牧野信一 「剥製」
...おみなへし、へらしだ、われもかう、烏萩、こうや万年草、いちはつ、狐の行灯、烏瓜、ぶらぶら提灯花、孔雀歯朶、盗棒萩、犬虱、しほん、獅子舞ひ蓮華、猫柳……等々と、一見見渡したゞけで忽ち百種類も数へあげることが出来るのである...
牧野信一 「バラルダ物語」
...流れのふちの猫柳の芽がふくらみ...
牧野信一 「幽霊の出る宮殿」
......
槇本楠郎 「赤い旗」
...一方にはまた我々のいう猫柳(ねこやなぎ)...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...一寸猫柳に似た天鵝絨のやうな銀いろの軟毛につつまれた...
横瀬夜雨 「春」
...うつら/\まどろんでる猫柳の芽...
横瀬夜雨 「春」
...水車は菜園の隅でし垂れた猫柳の葉に水をかけながら廻つてゐた...
横光利一 「悲しみの代價」
...こんもりした門冠(かぶ)りの猫柳の木に...
吉川英治 「江戸三国志」
...枯れ蘆(あし)と、低い団栗(どんぐり)の木、猫柳、野梅が二、三本...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
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