...これはM君へあてた狡猾な手紙の一節であつた...
徳田秋聲 「芭蕉と歯朶」
...凡て機械主義的範疇組織の最も複雑な狡猾な使用法を意味していることも亦...
戸坂潤 「科学論」
...盲目的な勇気と狡猾な安心とを与えることが出来るのである...
戸坂潤 「範疇の発生学」
...庭の樹立と遊んでゐる――あの狡猾なまなざしは...
富永太郎 「PANTOMIME」
...狡猾なのか朴訥なのか分らぬ人物で...
豊島与志雄 「秦の出発」
...常にほかのものよりさらに狡猾な強い人間が現われて来て...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...そして狡猾なことを考えながら...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...狡猾なものだけが野性を発揮して我儘三昧にふるまい...
久生十蘭 「ノア」
...みんな狡猾な奴等ばかりだつた...
堀口九萬一 「フランソア・コッペ訪問記」
...皆が読みたがるような狡猾な性癖も持ち合わせていない...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...だがエアロン・フィリップスは狡猾な悪魔だし...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「本命馬」
...老いてくぼんだ眼に狡猾な表情があった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...油斷のない狡猾な注意を忘れなかつた...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...私を狡猾なうれしさで...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...ときには狡猾な光を帯びるのがよく分って行った...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...もともと日本人は狐を狡猾な警戒すべきものとしては見ず...
柳田国男 「故郷七十年」
...北欧の小国人一流の狡猾なところはミジンもなく...
夢野久作 「戦場」
...昔も、今も、少数の、狡猾な、遊惰な、暴力と財力とを持つ人面獣が、おのおの万人分の席を占めて、どれ位われわれを飢させ、病ませ、苦めてゐるか知れない...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
便利!手書き漢字入力検索