...今はいつのまにかどの穂も同じように狐色(きつねいろ)に変り...
芥川龍之介 「海のほとり」
...跡は小屋も畑も霜のために白茶けた鈍い狐色(きつねいろ)だった...
有島武郎 「カインの末裔」
...すべてが巴里(パリー)からドライヴして来た人に相応(ふさわ)しい「長い途(みち)に狐色になった荒(ラフ)さ」だった...
谷譲次 「踊る地平線」
...その犬の狐色の尨毛(むくげ)や...
徳田秋声 「爛」
...狐色になった樹々(きぎ)の間に...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...英国人は折々狐色の外套を着たり...
永井荷風 「洋服論」
...おつぎは手桶(てをけ)の底(そこ)の凍(こほ)つた握飯(にぎりめし)を燒趾(やけあと)の炭(すみ)に火(ひ)を起(おこ)して狐色(きつねいろ)に燒(や)いてそれを二つ三つ前垂(まへだれ)にくるんで行(い)つて見(み)た...
長塚節 「土」
...白の脚絆(きゃはん)も埃(ほこり)に塗(まぶ)れて狐色になっている...
二葉亭四迷 「平凡」
...其の奥の方に障子に映した火光(あかり)が狐色になツて見えた...
三島霜川 「昔の女」
...先ずバター大匙一杯を鍋で溶かしてメリケン粉を大匙一杯パラパラと入れて手速く攪き廻しながら木の杓子(しゃくし)でよくいためてメリケン粉が狐色に変った時分に牛乳五勺(しゃく)とスープ五勺位入れるのですけれどもスープがなければ水と牛乳と等分位でもようございます...
村井弦斎 「食道楽」
...先(ま)ずバターを平(ひら)たい鉄鍋で溶かして乾いたお米を狐色になるまでよく炒りつけてそれを牛のスープかあるいは鳥のスープで塩味をつけながらお粥になるまで煮ます...
村井弦斎 「食道楽」
...それはやっぱりペラオ飯のようにバター大匙一杯でお米一合を狐色にいためて牛か鳥のスープ三合と裏漉(うらご)しにした赤茄子大匙五杯とを加えて塩胡椒で味をつけてペラオ飯の通りに煮ます...
村井弦斎 「食道楽」
...それをバターで両面の狐色になるまでフライして出します...
村井弦斎 「食道楽」
...それでお釜の底の方は半分焦(こ)げて狐色になっているのです...
村井弦斎 「食道楽」
...しかもバタのついてないのが狐色に焼き上っていた...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...狐色よりやや濃い色に...
山本周五郎 「季節のない街」
...狐色(きつねいろ)の落葉(おちば)の沈んだ池へさかさまに大理石の身を投げて...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...狐色の枯れすすきに...
吉川英治 「親鸞」
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