...――糸七は拳(こぶし)を固めて宙を打った――「この狂人(きちがい)」――「悪魔が憑(つ)いたか、狂わすか、しまったり」……と叫びつつ、蝦蟇を驚かしつつ、敷きわがね、伸び靡いた、一条(ひとすじ)の黒髪の上を、光琳の錦を敷いた木(こ)の葉ぢらしの帯の上のごとく、転々として転げ倒れた...
泉鏡花 「薄紅梅」
...どうやらポター家の平和をおびやかそうとしている非行についての自分の深い勘を狂わすようなものこそなかつたが...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「ブラウン神父の醜聞」
...彼をほとんど狂わする悲痛な運命の悪戯(いたずら)によって...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...上方のお酒の相場を狂わすほどに飲ませて上げますよ...
中里介山 「大菩薩峠」
...上方のお酒の相場を狂わすほどに飲ませて上げますよはいいとしても...
中里介山 「大菩薩峠」
...律呂の相場を狂わすに相違あるまいと...
中里介山 「大菩薩峠」
...悩める恋びとの心を狂わすにじゅうぶんであった...
マクドナルド George MacDonald 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...果ては炎と燃え狂わすかと...
正岡容 「小説 圓朝」
...これまで最もこのプランを狂わすのは...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...日常の秩序を狂わす程強烈でない趣味として細君が文学的なのもわるくないのが一方の気分のようです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...射損じまいというあまりに強い心の緊張がその手もとを狂わすことを恐れたからだ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...ひそかな旋風のように市場の棉花相場を狂わすことが度々(たびたび)あった...
横光利一 「上海」
...自由に自身で狂わすことが出来るものですか...
横光利一 「馬車」
...矢代ひとり日を狂わすことは出来なかった...
横光利一 「旅愁」
...その作戦を狂わすに到るであろうと説明した...
吉川英治 「三国志」
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