...物静かな薄暗をつくっていた...
芥川龍之介 「奇怪な再会」
...物静かなる死の如く...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...遠くの方で物静かな蛙(かえる)の鳴き声さえ聞えていたが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...例の無表情な物静かな瞳(ひとみ)を客の方へ注いでいるだけであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...彼女は物静かな、気だてのやさしい、情けぶかい娘さんで、柔和なおだやかな眸(ひとみ)をして、はちきれんばかりに健康だった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「可愛い女」
...彼女の清らかで物静かな星がこの彗星と接触して行くように見えた...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「ブラウン神父の醜聞」
...これはこの会場にふさわしくないほど、物静かな、しんみりとした気持のいい絵であると思った...
寺田寅彦 「ある日の経験」
...物静かな細い声が出る口から...
豊島与志雄 「田舎者」
...相手の品位に押されて物静かでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...そこにはいとも物静かな...
橋本五郎 「地図にない街」
...しかも物静かな物語に置き換え出した...
堀辰雄 「風立ちぬ」
...物静かにその日を終えようとしながら窓から山や森を眺めて...
堀辰雄 「菜穂子」
...物静かな部屋に坐って...
堀辰雄 「卜居」
...そしてその中には、物静かな、小ぢんまりとした環境に生きている素朴な人達の、何物にも煩わせられない、自足した生活だけの描かれることが要求されている...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...昔の合戦(いくさ)はあんなだったんでござんしょうなあ」白足袋の似合いそうな町家の旦那衆らしい物静かな中年の男が...
正岡容 「寄席」
...あの物静かな健(けな)げな奥さんが受取人となっでいる二万円の生命保険金は...
松本泰 「暴風雨に終わった一日」
...みんなは保険会社員だの、産婆だの、高等洗濯婦だの、「代理人」だの、胼胝治療者(うおのめなおし)だのの住宅や仕事場などを通りすぎて、物静かに、侮蔑の心はないが、縁遠い気持で昇って行く...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「予言者の家で」
...あたかも霞を喰うて生きている天仙か地仙のごとく物静かに日々を黙して送っていたが...
吉川英治 「三国志」
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