...説明的であり理知的である小説や戲曲によつて自分を表現するのでは如何しても物足らない衷心の要求を持つてゐた...
有島武郎 「詩への逸脱」
...物足らないようでかえってゆかしい...
伊藤左千夫 「廃める」
...たゞあかるくて春夜の虫のもう死んでゐるもだえつゝ死んでゆく春の夜の虫春の夜の火事の鐘をきいてゐる・何だか物足らない別れで...
種田山頭火 「其中日記」
...芸術としては甚だ物足らないと思ふ...
田山録弥 「或新年の小説評」
...何うもそれでは物足らない...
田山録弥 「解脱非解脱」
...それでは何うしても物足らないやうに見える...
田山録弥 「静かな日」
...どこが物足らないかが...
夏目漱石 「草枕」
...普通の小説の読者から云えば物足らない...
夏目漱石 「写生文」
...彼は物足らない意味で蛇(へび)の頭を呪(のろ)い...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...どうしてもそれだけでは物足らない言葉であった...
夏目漱石 「明暗」
...妙にやるせない物足らない心持だけが残るのでした...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...三日その少女を見ないと何だか物足らないし気になる程安永はよく其処へ行った...
原民喜 「牛を調弄ふ男」
...近頃では照子の顔を見るとそんなことでも話し出さないと物足らないやうな気さへするのです...
牧野信一 「愚かな朝の話」
...何か物足らないやうな淋しさが彼れの心には付き纏つてゐた...
正宗白鳥 「母と子」
...僕は一週間の間何となく物足らない感じをしている...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...その時ふと氣がつくと、彼女は自分が仕度をして待つてゐるのはその男一人のためであり、他の若い男達なら何人と一緒に居ようとも、そのお祝ひも、その舞踏も、物足らないで、何の愉しみもないやうであつた‥‥漸く彼は晴衣を着てやつて來た...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...杏所に一つ物足らないものは...
吉川英治 「折々の記」
...ふと物足らないものを覚えて...
吉川英治 「新書太閤記」
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