...説明的であり理知的である小説や戲曲によつて自分を表現するのでは如何しても物足らない衷心の要求を持つてゐた...
有島武郎 「詩への逸脱」
...差向つてゐた時は、迚も思慮など思ひもよらぬことであつたが、今一人殘つて漸く心が靜まつて見ると、彼時には餘りに言ひ足らなかつた爲め、物足らない、何となし殘惜しい樣な心持が動いてきた...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...それと知つた博士は何だか少し物足らないらしかつた...
薄田泣菫 「茶話」
...そうして夜中に腹が痛くなって煩悶しなければ物足らないという連中が多いようである...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...物足らないと同時に気安にも感じる...
種田山頭火 「行乞記」
...このまゝ寝るのは何だか物足らないので...
種田山頭火 「其中日記」
...芸術としては甚だ物足らないと思ふ...
田山録弥 「或新年の小説評」
...何うもこれでは物足らない...
田山録弥 「或新年の小説評」
...自然何か物足らない節(ふし)があるように見えます...
中里介山 「大菩薩峠」
...まだ何か物足らない面(かお)で...
中里介山 「大菩薩峠」
...内容に立入ると物足らないこと夥(おびただ)しい――と白雲はようやくそれに気がつきました...
中里介山 「大菩薩峠」
...なかに出てくる吉野さんよりも能の楽屋の景色や照葉狂言(てりはきょうげん)の楽屋の景色其物に興味がないと極めて物足らない小説になるかも知れぬ...
「高浜虚子著『鶏頭』序」
...妙にやるせない物足らない心持だけが残るのでした...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...心ひそかに物足らない思い出で私は追っていた...
正岡容 「艶色落語講談鑑賞」
...いつも何か物足らない心持をおこさせる...
宮本百合子 「科学の常識のため」
...物足らないおもいがあった...
吉川英治 「大岡越前」
...物足らない人と見られて...
吉川英治 「私本太平記」
...むしろ物足らないように賞(ほ)めそやした...
吉川英治 「私本太平記」
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