...自ら言うは異な事なれど、予は物覚えよく、一を聞て二三は知るほどなりしゆえ、伯父はなお身を入れてこの子こそ穂垂という家の苗字を世に知らせ、またその生国(しょうごく)としてこの地の名をも挙るものなれとて、いよいよ珍重して教えられ、人に逢えばその事を吹聴さるるに予も嬉しき事に思い、ますます学問に身を入れしゆえ、九歳の時に神童と言われ、十三の年に小学校の助教となれり...
饗庭篁村 「良夜」
...僕は極めて物覚えが悪い...
石川欣一 「可愛い山」
...なかなかに物覚えが好いのである...
上田広 「指導物語」
...物覚えがいいんだからな...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...無造作に語り出す老鶴の物覚えのたしかさと器量の大きさは...
薄田泣菫 「独楽園」
...みんなの耳にジャズ・バンドが未(いま)だに響いているらしく、誰か一人が或(あ)るメロディーを唄(うた)い出すと、男も女も直(す)ぐその節に和して行きましたが、歌を知らない私には、彼等の器用さと、物覚えのよさと、その若々しい晴れやかな声とが、ただ妬(ねた)ましく感ぜられるばかりでした...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...物覚えも良かったのですが...
谷崎潤一郎 「幇間」
...あんまり物覚えのええおかたではないとみえるだ...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...今年(ことし)は物覚えが急によくなって...
夏目漱石 「三四郎」
...なんて物覚えが悪いんだろうなんて生意気にも思う...
長谷川時雨 「明治座今昔」
...物覚えのいいのは母親似でございまして...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...「己は元来物覚えの悪い性分だから...
穂積陳重 「法窓夜話」
...非常に物覚えのよい人で一度見聞きしたことは終生忘れなかった...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...あなたの物覚えのよいのをフーと云って話していたことがありますが...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...しかし自分でもこだわらずだんだん物覚えがよくなれば治るだろうし...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...あの児は物覚えがよいなどとほめられたのに安心して...
柳田国男 「故郷七十年」
...T「ところがこの俺も」T「生れッつきやけに物覚えがいい方でなァ」「一度見た面ァ滅多に忘れねえッ」「おッ大将」T「お前の額のその傷ァ何だい?」「えッ」となる太郎左衛門...
山中貞雄 「右門捕物帖 三十番手柄 帯解け仏法」
...物覚えものろかった...
吉川英治 「私本太平記」
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