...砲兵工廠の西に隣れる一角、牛天神の境内は、小石川臺上、唯一の遊覽地也...
大町桂月 「小石川臺」
...俺は向島の牛天神の方から...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...安藤阪を下り牛天神の石級を登り...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...おじさんというのは牛込芸者の京子を身受して牛天神下(うしてんじんした)に囲(かこ)っていた旦那(だんな)の事である...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...樹(き)の茂ったところが牛天神になるわけだな...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...*夕暮よりも薄暗い入梅の午後牛天神(うしてんじん)の森蔭に紫陽花(あじさい)の咲出(さきいづ)る頃...
永井荷風 「伝通院」
...飯田町(いいだまち)の二合半坂(にごうはんざか)は外濠(そとぼり)を越え江戸川の流を隔てて小石川牛天神(うしてんじん)の森を眺めさせる...
永井荷風 「日和下駄」
...今日でも、復興の東京の騒々しい物音を数十尺だけ超越して、たとえば、駿河台、本郷元町台、牛天神、牛込赤城神社、谷中、白金(しろがね)、高輪台(たかなわだい)あたりか、或いは市中の会社商店等のビルヂィングの高塔の上に身を置いて、天候の至極よろしい日――例えば初冬から早春に至る間の快晴の日、東京では秒速七八米突(メートル)から、十米突ぐらいまでの北西の風が帝都の煙塵を吹き払うの頃、それも山地に降雪多く、ややもすれば水蒸気が山の全容を隠すことの多い十二月から二月は避けて、三月から四月へかけての雨上りの朝の如上の風速のありそうな日――この一年のうち、いくらもなかるべき注文の日を選んで、数十尺の超越から帝都の四境を見渡すと、そこに都人は、崇高にして悠遠(ゆうえん)なる山岳のあこがれを呼びさまされて、自然と、人生との、髣髴(ほうふつ)に接触することができる...
中里介山 「大菩薩峠」
...安藤坂牛天神の境内には貧乏神を祀つた淫祠があつたと嘗て私はこの辺に住した安藤鶴夫君から聞かされたことがある...
正岡容 「巣鴨菊」
...牛天神の社内で謎の密書と指輪とを拾ふ泰西の探偵小説めいた譚があつたと記憶してゐる...
正岡容 「巣鴨菊」
...狂馬楽また「春雨や牛天神の女坂」なる詠をのこしてゐるし...
正岡容 「巣鴨菊」
...さう云へば先生はこの牛天神から程遠からぬ小石川金富町に生誕されたためであらうじつに屡々この辺りを材としてかいてゐられる...
正岡容 「巣鴨菊」
...小石川牛天神の五箇所ですが...
三田村鳶魚 「物貰ひの話」
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