...悪女がこの様に巧に其爪と角とを隠した事は...
テオフィル・ゴーチエ Theophile Gautier 芥川龍之介訳 「クラリモンド」
...そして木部の全身全霊を爪(つめ)の先(さき)想(おも)いの果てまで自分のものにしなければ...
有島武郎 「或る女」
...けれども少し爪先(つまさ)き立ってお尻(しり)を軽く振って歩く...
太宰治 「パンドラの匣」
...乙彦が無心に爪で千切(ちぎ)りとった痕(あと)まで...
太宰治 「火の鳥」
...その新ダイヤの靴の爪先が私の眼の前で止まりました...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...われとわがあたまを剃り・星が光りすぎる雨が近いさうな・どうしてもねむれない夜の爪をきる・更けてさまよへばなくよきりぎりす殺された蚤が音たてた・旅のこゝろもおちついてくる天の川まうへ今日は特種が一つあつた...
種田山頭火 「行乞記」
...面白いことをわざわざ鹿爪(しかつめ)らしく教えているのではないかという気がする...
寺田寅彦 「颱風雑俎」
...待(ま)つてつから早(はや)く來(き)てくろなんて云(ゆ)はれた日(ひ)にや縁起(えんぎ)でもねえから」爺(ぢい)さんは爪(つめ)で頭(あたま)を掻(か)いた...
長塚節 「土」
...手の平へ載(の)せて中指の爪と親指の腹で彈(はじ)くと...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...平次は爪楊枝(つまようじ)を叩き付けるように...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...調べるところは調べて見なきやア」「――」「與三郎の死骸の爪は割れて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...印の傘をさしかざし高足駄(たかあしだ)の爪皮(つまかわ)も今朝(けさ)よりとはしるき漆の色...
樋口一葉 「たけくらべ」
...夢(ゆめ)さら浮(う)いた心(こゝろ)では無(な)けれど言甲斐(いひがひ)のないお袋(ふくろ)と彼(あ)の子(こ)は定(さだ)めし爪(つま)はじきするであらう...
樋口一葉 「にごりえ」
...」彼は説明しながら尚も爪を火にくべてゐた...
牧野信一 「爪」
...その爪と見ゆるは実は蹄(ひづめ)で甚だ犀(さい)の蹄に近い(ウッド『博物画譜(イラストレーテッド・ナチュラル・ヒストリー)』巻一)...
南方熊楠 「十二支考」
...それとはおよそそぐわない調子の三味線の爪びきの音がポツンポツンと鳴り出す...
三好十郎 「樹氷」
...黒い羽織を重ね黒足袋に爪皮のかゝつた日和下駄を履いて...
百田宗治 「百鬼園讃」
...でも、洋裝は、女をかなり夏の生活へ解放したが、その洋裝をするために、パーマネント・ウエーブをかけ、爪紅を塗り、ハイヒールに灼けた地上を踏んであるく必要を生じるならば、むしろ、帶は幅は厚いにしても、日本服の裳を風にさばいてゐたはうが、男の眼から見ても救はれる...
吉川英治 「折々の記」
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