...酒か酒的思想かに爛熟したと思はれる筋肉の骨ぶしのゆるみから...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...殊に江戸文化の爛熟した幕末の富有の町家は大抵文雅風流を衒(てら)って下手(へた)な発句の一つも捻(ひね)くり拙(まず)い画の一枚も描けば直ぐ得意になって本職を気取るものもあった...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...而(しか)して永い歴史を有する羅馬(ローマ)の爛熟した文明は...
大隈重信 「文明史の教訓」
...寧ろ未発展な唯物論がそのまま爛熟したものに他ならぬ...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...若々しさのうちに何処か緊りのない爛熟した肉付で...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...人を悩殺せしむる爛熟した肉体の片影が見えていた...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...爛熟した過去の文明の遠い(ささや)きを聞こうとしているのである...
永井荷風 「妾宅」
...漸(ようや)く爛熟した肉体の衝動にかられて...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...甘酸っぱく爛熟した江戸文化は...
野村胡堂 「礫心中」
...爛熟した江戸情緒の失はれるのとともにほろびて消えてしまふのを...
長谷川時雨 「東京に生れて」
...これは閲歴の爛熟したものの免れないところである...
マルセル・プレヴォー Marcel Prevost 森鴎外訳 「田舎」
...インドとシナとの爛熟した文化生活が当時の男に感染していたとすれば...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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