...僕は戰地から歸つた時はどこかで病院を開くといふ大志を懷いて居たのだがそれが僅か一年半でこんな間に合せの醫院に燻るやうに成つてしまつた...
長塚節 「開業醫」
...私の心が燻る……冬の明け方残んの雪が瓦に少なく固く枯木の小枝が鹿のやうに睡(ねむ)い...
中原中也 「在りし日の歌」
...生木の燻る火鉢に獅噛みついてゐた...
原民喜 「廃墟から」
...銀色に燻る破片と赤く爛れた死体で酸鼻を極めてゐた...
原民喜 「火の唇」
...燻る火で身を乾かしてゐる船乘りや...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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