...あとに燠が残るかも知れない...
太宰治 「津軽」
...」「燠(おき)が残つてゐたわけだ...
太宰治 「津軽」
...たまにはかわりに往ってくれるとでも云うのかい」長吉は黙って掌で燠(おき)の見当をつけて煙草を点(つ)けた...
田中貢太郎 「春心」
...昨夜の湯の原の宿はわるくなかつた、子供が三人、それがみんな掃除したり応対したりする、いただいてゐてそのまゝにしてゐた密(マヽ)柑と菓子とをあげる、継母継子ではないかとも思ふ、――とにかく悪くない宿だつた、燠を持つてくる、めづらしく炭がはいつてゐる、お茶を持つてゐ(マヽ)る、お茶受としてはおきまりの漬物だが、菜漬がぐつさり添へてある、そして温泉には入り放題だ...
種田山頭火 「行乞記」
...二階の私に燠を持つてきてくれて話した...
種田山頭火 「行乞記」
...そしてちやうど駄目になる燠があつたから...
種田山頭火 「行乞記」
...火鉢にも燠がたやされない...
種田山頭火 「道中記」
...燠を火鉢に移して薬鑵をかける...
種田山頭火 「私の生活」
...燠(おき)火を廣く散らし布き...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...煙が狹い家に薄く滿ちた時に火鉢へは燠(おき)が出來て煤けた鐵瓶がちう/\鳴り出した...
長塚節 「芋掘り」
...燠((おき))の空...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...繻子((しゆす))の肌した深紅の燠((おき))よ...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...ちやうど百姓が煙草を吸ひつけようとして素手で燠(おき)を持つた時のやうに渋面を作つてフウフウ息を吹きかけながら...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...まるで燠(おき)のやうに赤くなつた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...燠(おき)はなほ盛なりという...
武者金吉 「地震なまず」
...直接に燠(おき)の火にその一握(ひとつか)みを押当てて吹いたのである...
柳田国男 「木綿以前の事」
...クヨークリは燠(おき)のごとく具体的ならず...
柳田国男 「雪国の春」
...その上に父の骨がほのかな曙色を裡に湛えた燠の姿で並んで来た...
横光利一 「旅愁」
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