...』『燐寸箱! 然だ、燐寸箱だよ、全(まつ)たく...
石川啄木 「漂泊」
...乏しい様子が、燐寸ばかりも、等閑(なおざり)になし得ない道理は解(よ)めるが、焚残(もえのこ)りの軸を何にしよう……蓋(けだ)し、この年配(とし)ごろの人数(ひとかず)には漏れない、判官贔屓(ほうがんびいき)が、その古跡を、取散らすまい、犯すまいとしたのであった――「この松の事だろうか……」――金石(かないわ)の湊(みなと)、宮の腰の浜へ上って、北海の鮹(たこ)と烏賊(いか)と蛤(はまぐり)が、開帳まいりに、ここへ出て来たという、滑稽(おかし)な昔話がある――人待石に憩(やす)んだ時、道中の慰みに、おのおの一芸を仕(つかまつ)ろうと申合す...
泉鏡花 「瓜の涙」
...赤い燐寸の火に照らしだされた不思議な紳士の顔を穴のあくほど見詰めていた松吉は...
海野十三 「雷」
...燐寸(マッチ)を四...
海野十三 「深夜の市長」
...――さっき青年上原君に燐寸を借りたでしょう...
海野十三 「蠅男」
...燐寸工場に出てゐるウメ子は娘らしくなく...
武田麟太郎 「反逆の呂律」
...燐寸(マッチ)を恐れて...
田畑修一郎 「南方」
...バナナの皮や燐寸(マッチ)箱で人形をこしらえるというアインドール・スミス...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「見えざる人」
...すると幸民は直ちにその男の眼前で燐寸を發火させてみせたので...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...バツと擦つた燐寸の火で船頭の容貌が見られた...
長塚節 「土浦の川口」
...封蝋と燐寸(マッチ)の棒とで...
中谷宇吉郎 「科学と国境」
...自分はそこにあった巻莨入(まきたばこいれ)から煙草(たばこ)を一本取り出して燐寸(マッチ)の火を擦(す)った...
夏目漱石 「行人」
...やつと燐寸をすつて番号を探した...
林芙美子 「瑪瑙盤」
...シユツシユツと燐寸をする音が...
堀辰雄 「風景」
...」と云つて鶴村は煙草に火をつける為に燐寸をすつた...
牧野信一 「眠い一日」
...七五離森(はなれもり)の長者屋敷にはこの数年前まで燐寸(マッチ)の軸木(じくぎ)の工場(こうば)ありたり...
柳田国男 「遠野物語」
...それは燐寸(マッチ)ではなくて黒い表紙の付いた小型の聖書であった...
夢野久作 「暗黒公使」
...この他に新しき三本の百匁蝋燭が燐寸(マッチ)の箱と共に机の下に置きありたるが...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
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