...進歩両党のあいだに接近の気運は熟していた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...いよ/\酒をやめる機縁が熟したらしい...
種田山頭火 「其中日記」
...洗い立ての熟したトマトの皮のように張切った銅赤色の光である...
中島敦 「狼疾記」
...枇杷の木に黄色な實が熟したとて...
長塚節 「旅行に就いて」
...作品が熟してゆくといふことは...
中原中也 「詩壇への抱負」
...爛熟し切った美女お金の方に代るものは...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...まして恋などするほど成熟しているようには見えなかった...
葉山嘉樹 「死屍を食う男」
...改進の用意十分に熟したるものというべし...
福沢諭吉 「物理学の要用」
...秋になるとアズキ大の実が枝端に相集りそれが赤色に熟してすこぶる美しく...
牧野富太郎 「植物記」
...「燕たち」となじみになろうという計画が熟した...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ある幸福」
...二成熟した形態に於けるロマンティクの基礎經驗のひとつの著しい性格は...
三木清 「唯物史観と現代の意識」
...すっかりよく熟したのを取っておあげ...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...人間が成熟してゆくいろんな段階というものを含味してみると複雑なものですね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...よく熟した枇杷の実を満載してくるいくつかの舟とすれちがった...
柳田国男 「雪国の春」
...熟した梅の実が朴の葉を擦り落ちるころだった...
横光利一 「旅愁」
...機は充分に熟しておりまする」かねてから一益は...
吉川英治 「黒田如水」
...今や機は熟したと思われるゆえ...
吉川英治 「三国志」
...時機が熟しませぬ...
吉川英治 「親鸞」
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