...しかしその晩葉子はこの少年のような心を持って肉の熟した古藤に罪を犯させて見たくってたまらなくなった...
有島武郎 「或る女」
...若くはその最も熟したる語にて...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...まだ熟してゐないんだよ...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...」おくみは黒く熟したつぶ/\の実を両手に受けたまゝ...
鈴木三重吉 「桑の実」
...円熟した晩年の釈尊...
高神覚昇 「般若心経講義」
...……出立の因縁が熟し時節が到来した...
種田山頭火 「其中日記」
...その向こうの野の黄いろく熟した稲には...
田山花袋 「田舎教師」
...また頭の成熟しないものが政治上の事にたずさわるのは一体早過ぎるというのである...
寺田寅彦 「アインシュタインの教育観」
...北緯四十一度を越えても稲田の黄熟しているのに驚く...
寺田寅彦 「札幌まで」
...林檎(りんご)樹からは熟した果実が濡れ草の中に落ちていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...桃や枇杷が熟しました...
豊島与志雄 「幻の園」
...夏は梅の実熟し冬は蜜柑の色づく彼の小田原の古駅はわたしには一生の中最も平和幸福なる記憶を残すばかりである...
永井荷風 「花火」
...これに接するものはもしこれに接し得るだけの機縁が熟していれば...
夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
...成熟しかけた若さといふものが...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...「燕たち」となじみになろうという計画が熟した...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ある幸福」
...先方が女らしく成熟して来るに連れて...
水上滝太郎 「九月一日」
...ようやく思想も成熟してき...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...鎖国の形勢が急激に熟しつつあったために...
和辻哲郎 「鎖国」
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