...りんごの枝は熟した果実でたわわになっていた...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...それから熟したさくらんぼうの中に入つてゐる...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...庭のいちじくが熟しかけたので...
岩野泡鳴 「耽溺」
...それが黄ろく熟した...
田中貢太郎 「怪しき旅僧」
...垣根に添ひ井戸端に添つてその赤い酸漿の無数に熟してゐるシインが浮んだ...
田山録弥 「谷合の碧い空」
...円熟した大作家にふさわしい手腕で鮮かに創造されている...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...落葉樹の葉の中で遅く発育したのがまだ十分成熟しないうちに早い霜に痛んでしまうと...
寺田寅彦 「歳時記新註」
...豆の熟して自から莢(さや)を外るるを知らば...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...寧ろ未発展な唯物論がそのまま爛熟したものに他ならぬ...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...しかしいっそう成熟しやや傷ついたものとなっていて...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...熟した果実を孕(はら)んでる妊婦の...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...もうあんなに熟してしまってるのに...
豊島与志雄 「山の別荘の少年」
...彩色板刻に対する経験も円熟し来れり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...円熟した後年の風が既に見えてゐる...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...まるで熟した苹果(りんご)のよう殊(こと)に眼はまん円でまっくろなのでした...
宮沢賢治 「風野又三郎」
...ある事件の熟して来る日を待つ積りだ...
シュニッツレル Arthur Schnitzler 森鴎外訳 「みれん」
...もういくらでも熟しているとのことであった...
柳田国男 「雪国の春」
...トルレスは時機の熟したものだけを選び出したのである...
和辻哲郎 「鎖国」
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