...君のやうな物の云ひやうをすると却つて他人の好奇心を煽るやうなことになるのだ...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...背後(うしろ)に残って、砂地に独り峡の婆、件(くだん)の手を腰に極(き)めて、傾(かた)がりながら、片手を前へ、斜めに一煽(ひとあお)り、ハタと煽ると、雨戸はおのずからキリキリと動いて閉(しま)った...
泉鏡花 「悪獣篇」
...ひ弱な火影の煽るに連れて...
薄田泣菫 「西大寺の伎藝天女」
...胸に火を煽るが如くにて御座候――」「海國兵談」の著者林子平は...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...特殊な事柄だけが詩情を煽るのである...
豊島与志雄 「「草野心平詩集」解説」
...その声は急に何かを煽るように響いた...
豊島与志雄 「囚われ」
...わざとその情を煽るやうな言動をせられた...
レオ・トルストイ Lev Nikolaevich Tolstoi 森林太郎訳 「パアテル・セルギウス」
...後ろから火勢が煽るものですから...
中里介山 「大菩薩峠」
...あの写真を借りてもどらう――さういふ突飛なおもひつきが更らに彼の郷愁を煽るのだつた...
原民喜 「永遠のみどり」
...その火を風で煽る如(やう)に...
平出修 「計画」
...京都でこの手合が攘夷論を煽るのですから...
三田村鳶魚 「話に聞いた近藤勇」
...戦争熱をラジオや芝居で煽るようになってから...
宮本百合子 「刻々」
...何々叢書と矢鱈(やたら)に金文字気分を煽るのは...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...ばたばたと煽ると...
蘭郁二郎 「鱗粉」
...しかしそれがキリスト教に対する反感を煽るように見えた...
和辻哲郎 「鎖国」
...むしろ狂熱的に殉教を煽るというような猪突的なものであった...
和辻哲郎 「鎖国」
...その悲嘆さえもが彼女の嫉妬を煽るにしろ...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
...苦しみが愛を煽ることを...
和辻哲郎 「ベエトォフェンの面」
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