...實現の要求を煽る現在の心熱である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...背後(うしろ)に残って、砂地に独り峡の婆、件(くだん)の手を腰に極(き)めて、傾(かた)がりながら、片手を前へ、斜めに一煽(ひとあお)り、ハタと煽ると、雨戸はおのずからキリキリと動いて閉(しま)った...
泉鏡花 「悪獣篇」
...ひ弱な火影の煽るに連れて...
薄田泣菫 「西大寺の伎藝天女」
...両手で私の腰を煽るようにした...
谷崎潤一郎 「恐怖」
...特殊な事柄だけが詩情を煽るのである...
豊島与志雄 「「草野心平詩集」解説」
...後ろから火勢が煽るものですから...
中里介山 「大菩薩峠」
...どんなに煽るかわかりません...
野村胡堂 「百唇の譜」
...あの写真を借りてもどらう――さういふ突飛なおもひつきが更らに彼の郷愁を煽るのだつた...
原民喜 「永遠のみどり」
...足を煽るような、ひどく癖のあるその足音は、つい今しがたきいたばかりの歩調と寸分違わない...
久生十蘭 「魔都」
...その火を風で煽る如(やう)に...
平出修 「計畫」
...横から団扇で煽る...
北條民雄 「癩院記録」
...突然上体を激しく煽るや逆手に握つた短刀を力一杯吾と吾が腹に突き刺し...
牧野信一 「沼辺より」
...折れた槍だ……コノール王を狂気に突き煽る槍だ!コエル (怒って)愚かな狂人...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「ウスナの家」
...京都でこの手合が攘夷論を煽るのですから...
三田村鳶魚 「話に聞いた近藤勇」
...ばたばたと煽ると...
蘭郁二郎 「鱗粉」
...しかしそれがキリスト教に対する反感を煽るように見えた...
和辻哲郎 「鎖国」
...むしろ狂熱的に殉教を煽るというような猪突的なものであった...
和辻哲郎 「鎖国」
...その悲嘆さえもが彼女の嫉妬を煽るにしろ...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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