...』為さんは口を尖(とが)らして巡査を煽動します...
伊藤野枝 「火つけ彦七」
...――「江山(こうざん)洵美(じゅんび)是(これ)吾郷(わがきょう)」〔大槻盤渓(おおつきばんけい)〕と、身世(しんせい)誰か吾郷の洵美を謂はざる者ある、青ヶ島や、南洋浩渺(こうびょう)の間なる一頃の噴火島、爆然轟裂、火光煽々、天日を焼き、石を降らし、灰を散じ、島中の人畜殆ど斃れ尽く、僅に十数人の船を艤して災を八丈島に逃れたるのみ、而も此の十数人竟に其の噴火島たる古郷を遺却せず、火の熄むを待つこと十三年、乃ち八丈を出て欣々乎として其の多災なる古郷に帰りき、占守(シュムシル)や、窮北不毛の絶島(千島の内)、層氷累雪の処のみ、後、開拓使有使の其の土人を南方色丹(シコタン)島に遷徒せしむや、色丹の地、棋楠(オンコ)樹青蒼、落葉松濃かに、黒狐、三毛狐其蔭に躍り、流水涓々(けんけん)として処々に駛(はし)り、玉蜀黍穫べく馬鈴薯植うべく、田園を開拓するものは賞与の典あり、而も遷徒の土人、新楽土を喜ばずして、帰心督促、三々五々時に其の窮北不毛の故島に返り去る、(後略)――『日本風景論』は明治二十七年十月二十九日に初版が発売され、私の持っている十一版は明治三十三年八月六日発行であるから、約六年の間に十一版を重ねている...
宇野浩二 「それからそれ」
...持斎茂吉は煽動の所為として刑法第百三十七条中段に該当する重罪...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...そしてしたたか酒を煽飲(あお)りながら...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...羽毛を風に煽られてとまっていたが...
田中英光 「箱根の山」
...しかし煽風器などと云うものになると...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...さっきよりここに隠れて聞きおりしと覚しき女(むすめ)お豊を煽(あお)り倒しつ...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...沢正以前に松井須磨子なるものがあってこれがまた非常な人気を煽られたもので須磨子の外に女優なしと思われるほどに騒がれた...
中里介山 「生前身後の事」
...こういう思想を煽(あお)って...
中里介山 「大菩薩峠」
...「そんなに煽(おだ)てちゃいけない...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...どんなに煽るかわかりません...
野村胡堂 「百唇の譜」
...どんな男をもどきりとさせずにおかぬような煽情的な眼付で手を握ると...
久生十蘭 「黒い手帳」
...鶴子は加十にシャンパン酒を注がせては勢い猛に煽っていたが...
久生十蘭 「魔都」
...めきめき大方の人気を煽り出した圓朝は...
正岡容 「圓朝花火」
...石山は池田が坑夫を煽動するように思い込んでいるらしく...
宮嶋資夫 「恨なき殺人」
...まるでその口元が目にみえるような煽動の語調で...
宮本百合子 「新しい抵抗について」
...ラジオを通して戦争熱を煽っている...
宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
...彼らの勇気をいやが上にも煽りたてるからだ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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