...煮え立つてゐる大鍋と谷あひの苔の事とを云ふのである...
アナトール・フランス Anatole France 芥川龍之介訳 「バルタザアル」
...味噌の煮え立つ前に...
薄田泣菫 「茶話」
...願くは牛肉か何かのぢやあ/\煮え立つ強い匂をかぎ度いのであるが「私は此宇治の里が昔から好きでやしてな...
高濱虚子 「俳諧師」
...火焔で煮え立つ半液體が孔をふさいでしまふからなのだ...
南部修太郎 「阿片の味」
...お六が煮え立つた二度目の湯を持つて來てくれたので...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...生まれたばかりの嬰児(あかご)の四肢をもぎとって煮え立つフライパンの中へ投げこむほど惨忍にもなります...
平林初之輔 「オパール色の手紙」
...およびはどちら……八月の夜は今米久にもうもうと煮え立つ...
正岡容 「大正東京錦絵」
...処(ところ)は浪(なみ)も煮え立つやうな暑い印度洋(いんどやう)...
宮原晃一郎 「怪艦ウルフ号」
...客間からの話声をききながら湯がやっとたぎり出して来てだんだん煮え立つ音がしずまって行き...
「海流」
...仕事と言つても何時も心で苛苛と煮え立つてゐながら...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...鰯の大群は煮え立つように南の方へすこしずつ動いているのでした...
室生犀星 「不思議な魚」
...汁が煮え立つ...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...――爺さんはその時のことを思うと肚が煮え立つのである...
矢田津世子 「神楽坂」
...頭脳(あたま)がぐらぐら煮え立つように感じた...
山本周五郎 「思い違い物語」
...天プラ屋の煮え立つ油のにおいを嗅いだり...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...煮え立つ釜中(ふちゅう)の豆(まめ)としてしまった...
吉川英治 「私本太平記」
...幾日か山の中に寢泊りして出て來た三人が思ひがけぬこの匂ひの煮え立つのを嗅いで胸をときめかせてゐるのもよく解つた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...幾日か山の中に寝泊りして出て来た三人が思いがけぬこの匂いの煮え立つのを嗅いで胸をときめかせているのもよく解った...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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