...ジクジク煮える鍋(なべ)を囲みながら...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...炎天のもとに煮えるような深い泥(どろ)を踏み分けては...
寺田寅彦 「試験管」
...油の煮える匂など...
中勘助 「銀の匙」
...大海戦にでもぶつかるように腹の底で煮えるものがあった...
中井正一 「地方の青年についての報告」
...――鍋はぐらぐらと煮える...
夏目漱石 「虞美人草」
...藪入りの寝るや小豆(あずき)の煮える中(うち)という句を作り...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...ゆき子は一切が判つたものの胸のなかは煮えるやうな腹立たしさであつた...
林芙美子 「浮雲」
...おえんまさまの舌は一丈まっかな夕陽煮えるような空気の底哀しみのしみこんだ鼻のかたちその向うに発射する一つのきらめき別に生きようとも思わぬたださらさらと邪魔にならぬような生存おぼつかない冥土(めいど)の細道からあるかなきかのけぶり けぶり推察するようなただよいもなく私の青春は朽ちて灰になる...
林芙美子 「新版 放浪記」
...御飯の煮える間に...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...あんまりキモが煮えるもんで――助役 ああ又来てるな...
三好十郎 「鈴が通る」
...よくこんなに柔く煮えるね...
村井弦斎 「食道楽」
...煮えるような苛苛しい気分になってゆくのであった...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...煮えるやうに人間の形をつつんで...
室生犀星 「神のない子」
...汁の煮えるのを待つてゐました...
コロレンコ Vladimir Galaktionovick Korolenko 森林太郎訳 「樺太脱獄記」
...なにかの煮える香ばしい匂いが...
山本周五郎 「橋の下」
...頭の中は煮えるように……額は氷のように……掌(てのひら)は火のように感じつつ...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...直義は煮えるような怒気(どき)と淋しさとにくるまれた...
吉川英治 「私本太平記」
...業(ごう)の煮える奴は...
吉川英治 「親鸞」
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