...三ツ輪の座敷に足を伸ばすとすき焼の鍋(なべ)の煮えるあいだも無駄に放っては置けないのであった...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...・もう明けさうな窓あけて青葉・蛙がうたうてゐる朝酒がある肉が煮えるにほひの...
種田山頭火 「行乞記」
...煮え上るのを待つ間横坐りに足を投げ出して煮える音を聞いてゐた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...彼が肉の煮えるのを待っているうちに...
豊島与志雄 「交遊断片」
...畑の中に南瓜の煮える火を囲んで...
永井隆 「長崎の鐘」
...その頭どうじゃ」「はらの煮える...
中里介山 「大菩薩峠」
...まだ蝋の煮える匂ひが殘つてゐさうです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...藪入(やぶいり)の夢や小豆(あずき)の煮えるうち藪入で休暇をもらった小僧が...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...藪入りの寝るや小豆(あずき)の煮える中(うち)という句を作り...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...ゆき子は一切が判つたものの胸のなかは煮えるやうな腹立たしさであつた...
林芙美子 「浮雲」
...御飯の煮える間に...
林芙美子 「新版 放浪記」
...部屋の中は甘味しそうな肉の煮える匂いでいっぱいだ...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...油の煮える煙り一度に上がる...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...仕事の途中でおなかすかして台所でものの煮えるのを待ちながら夕刊ひろげたら...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...なにかの煮える香ばしい匂いが...
山本周五郎 「橋の下」
...頭の中は煮えるように……額は氷のように……掌(てのひら)は火のように感じつつ...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...何か煮えるように熱くなった身の裡で溶け崩れてゆく別の悲しみを感じた...
横光利一 「旅愁」
...その煮えるのが楽しみらしく見える...
吉川英治 「宮本武蔵」
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