...「あれが、その絵像と木像とでございます」「周防の女(むすめ)の絵像があっても、木像があっても、何時(いつ)も俺に祟(たた)る堂じゃ、今日は焼き払う、その方は早く出よ」「それでは、絵像と木像とをお渡しを願います、周防殿の云いつけもございますから」「いかん、その絵像と木像とが俺に祟るから、そいつから一番に火をかける、早く出よ」「でも絵像と木像とだけは」「ならん、出よ、ぐずぐず云っておると、その方もいっしょに焼き殺すぞ」「では、是非(ぜひ)に及びません」僧は仏壇の方にちょっと頭をさげてから、とぼとぼと下へおりた...
田中貢太郎 「頼朝の最後」
...毎日のように吹き続く北西気候風に乗じて江戸の大部分を焼き払うにはいかにすべきかを慎重に考究した結果ででもあるように本郷(ほんごう)...
寺田寅彦 「函館の大火について」
...広島を焼き払うと空より撒かれた確かな噂で周囲の山や西瓜畑にのがれ夜明しをした市民は吠えつづけるサイレンに脅かされながらも無事な明け方にほっとして家に引返しのぞみのない今日の仕事へ出かけようと町に道路に溢れはじめたその朝 八月六日...
峠三吉 「原爆詩集」
...クロンウェルとともにドロゲダの町を焼き払うのに...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...この米友が宇治と山田の町へ火をつけて焼き払うからそう思え...
中里介山 「大菩薩峠」
...江戸を焼き払うほどの火にはなるまい」「それは地の利を計らなければ……先年...
中里介山 「大菩薩峠」
...焼き払われてしまうなんていうことにならないものでもなかろうと考えられますよ」「ばかな」「本当でございますよ」「江戸中を焼き払うなんて大きな火事は...
中里介山 「大菩薩峠」
...江戸中を焼き払うの時があるべきことを迷信し...
中里介山 「大菩薩峠」
...貯蔵庫を焼き払う予定であった...
山本周五郎 「風流太平記」
...近く此処を焼き払うこと...
山本周五郎 「風流太平記」
...わが数条の浮橋を焼き払うつもりに違いない」司馬懿(しばい)はこういって...
吉川英治 「三国志」
...谷中に蓄(たくわ)えている彼の兵糧を焼き払う考えなのじゃ...
吉川英治 「三国志」
...あまつさえ罪もない民家をあんなに焼き払うなどはちと気狂い沙汰だ...
吉川英治 「私本太平記」
...――左様なものを焼き払うのになんの惜しみがあろうぞ...
吉川英治 「新書太閤記」
...このやしきをも焼き払うぞと...
吉川英治 「新書太閤記」
...なんでこのお屋敷を焼き払うので? ……まさか...
吉川英治 「新・水滸伝」
...そうしてポルトガルの船を焼き払うために筏に火をつけて河上から流した...
和辻哲郎 「鎖国」
...本願寺を初め九百戸を焼き払うという大火になった...
和辻哲郎 「鎖国」
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