...何か無駄づかいをしていると感づいたらしい――もっとも...
岩野泡鳴 「耽溺」
...「どうと云うわけもないが」云い方を考えて、「なんと云うのか、家が収まらん、兄貴が死にでもすると、家がめちゃめちゃになるのだ」「まさか、そんなことはないだろう、華美(はで)ずきで、あちこちへ往くようだが、てきぱきして、家のことでもなんでも、兄さんにかわってやってるじゃないか」「それがいけないのだ、出しゃばって、華美好きな女なんて、ろくなことはしないのだ」「無駄づかいでもするのか」「無駄づかい、無駄づかいも、衣裳(きもの)道楽とか、演劇(しばい)道楽とか、そんな道楽なら、たいしたこともないが、いけないのだ」「それじゃ、素行(みもち)でもわるいのか、演劇(しばい)なんかへ往ってると、俳優と関係があるとかなんとか、人はへんなことを云いたがるものだよ、何かそんな噂でもあるのか」「そりゃ聞かないが、あんな女だから、そんなことを云われてもしかたがないよ、困った奴よ、児は小さいし、もし、兄貴でも死んだら、どうなるか判らないからね」「兄(あに)さんが死んでも君がありゃ、大丈夫じゃないか、君が広坊の後見をして、しっかりやるなら、なんでもないじゃないか、それとも姉さんが、君を邪魔者にして、兄さんにたきつけるのか」「そうでもないが、姉貴はじめ、家の雰囲気(まわり)が厭(いや)なんだ」「そうか」賢次はふと考えて、「君、いっそお媽(かみ)さんをもらって、別家したらどうだ、気もちがかわって、いいじゃないか」「俺(おいら)は、今、細君(にょうぼう)をもらう気がしないのだ」「何故だ」「何故と云うこともないが、もらう気がしない」その時階下(した)から嬰児(あかんぼ)の泣き声が聞えて来た...
田中貢太郎 「春心」
...無駄づかいをしない女はないんだからね」「だけども...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...一文の無駄づかいもしまいとびくびくして...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「ワーニャ伯父さん」
...折角こしらえて頂いたんだから僕出来るだけ無駄づかいしないようにして使うよ」瑛子は...
「海流」
...無駄づかいをしちゃあいかんぜ」爺さんはお初の手から金魚鉢を取って窓枠へ置いた...
矢田津世子 「神楽坂」
...「無駄づかいどころか...
矢田津世子 「神楽坂」
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